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第三十六話 国王からの呼び出し

 そんな、なんだか色々な進展を見せた日から、数日が経過。


 意外にも、彼女がこちらに越してきたからと言って、劇的に変化したことはあまり無かった。基本部屋にいるようだし、賢者としての仕事のため、居ない日も多い。


 しかし基本一日一回は顔を合わせたし、学校にもほとんど毎日顔を出してくれた。特に図書室がお気に入りの様で、毎日の様に本を借りて行く。 


 そんな様子を見て、アリサも特別親しくしようとはしていないが、だんだん態度を和らげて行った。そこまで警戒する相手では無いと理解したのかもしれない


 そして、とある日の夕食時。エルトールはイルフリーデを通して、王宮への出頭命令を聞かされたのである。


「二日後、王によって競技大会の種目とルールが言い渡されるわ」


 一階にて夕食を摂っていた時、彼女は不意にそう切り出したのである。


「学校の代表者は、生徒の中から一人代表者を連れて、王座の間へ出頭する事。……王の命令による決闘は、全て王の目前に晒されなければならない。これは儀礼的な……競技大会の開会式というわけね」

「そうかい。なら、行かなきゃな」エルトールは頷いた。

「ちなみに、代表選手は決めているの?」


 そんな何気ない質問に、当然アリサの方を向く。


 アリサはぽけーっと、目の前のスープを見つめていた。

「アリサ」「ひゃいっ!?」

 呼びかけると、びくっとこっちを向く。  

「君がウチの学校の代表生徒だ」 


「……はい?」アリサは話を聞いていなかったようで、首を傾げた。


 そして、翌日。


「そういうわけだけど、異論はないよね?」


 集まった生徒たちに向けて、エルトールは聞いた。彼の横には不安そうな表情をしているアリサが立っている。


 生徒たちは「意義なーし!」「アリサちゃん! 頑張って!」「アリサ! 下手こくなよ!」と、声援と罵声(?)を交互に浴びせて来た。 


「ま、任せなさいっ! あたしが下手こくわけ無いでしょっ!」


 グイッと胸を張るアリサ。しかしその様子がどこか空元気のようにも見えて、不安が過るエルトール。


 まさか、体調が悪いんじゃないだろうか。しかしこの場で聞けるはずもなく、

「……よし。じゃあ、アリサに代表を頼む。それと僕たちは競技大会の手続きの為、明日は王宮に出向かなきゃならない。つまり、明日学校は休みだ」


「「えーっ!?」」生徒たちが一斉に残念そうな声を出した。

「イルちゃんはー? 来てくれないのー?」女子生徒が手を挙げる。


 隅っこで本を読んでいたイルフリーデがじろっと視線を送り、


「その呼び方は辞めなさい。……私も明日は用事があるのよ」


 ちなみにイルフリーデが王国の賢者であることは、パトラしか気づいていない。よって子供たちの態度はかなり気さくなものである。


 それを見るパトラはいつも顔を青くしていたが、イルフリーデが気にしていない素振りなので、最近やっと恐る恐る話すようになってきた。


「じゃあ仕方ないかー……」

 みんながそんな雰囲気になって来た時。ふと、ブレンダが手を挙げた。


「先生。あの……自習をしたいので、扉だけでも開けて置く事って出来ないでしょうか?」  


 ブレンダの視線がちょっと揺れ動くのを見て、ん? と違和感を感じる。だが、 


「そう言う事だったら、扉だけでも開けておこうか」


 自習をしたいというのに閉める必要もあるまい。王都は広いスペースがないので、広々と魔法の練習が出来ないからな。


 そう言うワケで、代表生徒はアリサに決定し、二日後、王宮にて謁見をする事となった。


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