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第二十二話 校舎探し

 城を出たエルトールとアリサ両名は、そのまま何となく街のにぎやかな方へ足を進めて行った。

 街は実に賑やかだった。通りの中央を大量の馬車が行き来し、その端の歩道に大量の歩行者が行き来している。家族連れ、異国の商人、大道芸人に、道の脇で歌を披露している者まで居た。


「賑やかな場所だな」ついついこちらの気分まで上がってくるような光景である。

「ここの通りは、王都でも特に栄えている場所なんですよ」アリサが横で付け加える。

 その手はエルトールのローブを握っていた。こうでもしていないと、人ごみに呑まれてはぐれてしまう。


 そんな二人に向かって、前方からローブを着た男たちが歩いて来た。

 若い少年たちで、なにやら会話しながら歩いてきている。片手には箒を持っていた。

 とっさにアリサが後ろに隠れるのを感じる。エルトールはそのまま通り過ぎようとしたが、前方の二人はこちらに気づいた様子だった。


「「お疲れ様です!」」


 二人は慌ててこちらに頭を下げてきた。エルトールも驚いて、「あ、ああ。お疲れ様」と返す。


 そのまま、お互いホッとしたようにすれ違った。


「……先生にでも間違えられたかな?」

「王都学園では、上の者に目を付けられると生きていけないんです」


 アリサが暗い声で囁いてくる。

 なるほど。やはりここでも同じなのか実感し、少し落胆する。


 しかし、それならば少しでも早く学校設立に近づくために、行動に移さねばならないというもの。

 エルトールは早速、この街で土地を持っている商人を調べ上げ、片っ端から回っていった。

 条件は、都市からのアクセス性が良く、十分なスペースを持った広い建物。もしそう言った建物を持っているのなら丸ごと買い取りたい、と提案。


「一体どういった目的でお探しですか?」と聞かれれば、「魔法学校を開くつもりです」と返した。

 すると、「冷やかしは辞めてくれ」と言って追い出された。こちらがお金を持ってい無さそうなのも相まって、まるで相手にしてもらえない。


 そんな感じでアリサと共に、あっちに行ったりこっちに行ったり。気づいたら、空は夕陽で真っ赤になっていて、カラスがガアガアと鳴いていた。


「見つかりませんね……」

「ああ……」


 アリサと共に、道の脇に寄りかかって呟く。ガラガラとまた馬車が目の前を通り過ぎて行った。

 ……商人に頼るのはダメだな。これなら自分で物件を探し出して、直接交渉した方がマシだ。


「取り合えず、宿でも探そうか。それからご飯も」

「師匠。今更ですが、本当にお金あるんですか?」アリサは不安そうな面持ちである。

 

 いかんいかん、弟子を不安がらせてしまった。


「あるよ」


 エルトールは証明するために、アリサを連れて人気のない路地に入った。

 周囲に誰も居ないことを確認して、「ゲート」と呟き、空中をなぞる。


 繋げるのは、私物の保管してある場所ではなく、金庫用に作った場所。バキバキと空間が割れ、二人の前に異空間への扉が口を開いた。


「な、な、なんですかそれええええええええええ!?」アリサは驚いて数歩後ずさった。

「何って、異空間魔法だよ」

「い、いく……? へ……?」


 どうやら、全く理解できていない様子である。まあ、聞くより見た方が早いだろう。

 エルトールはアリサの腕を掴んで、異空間の中に引っ張り込んだ。


「きゃああああ!?」


 悲鳴を上げるアリサ。しかしそのヒビの向こうには――、大量の金貨が保管された、金庫の中のような場所があった。


「……え?」


 ポカーンとするアリサ。エルトールは魔法で灯した明りを空中に浮かべ、腰を落として金貨の山を一掴みした。


「帝国の金貨だ。王国でも十分すぎる価値で扱ってくれるだろう」

「な、何がどうなって……し、師匠!?」


 ぎゅっと抱き着いてくるアリサ。いきなり周囲の光景が変わってしまったことに、戸惑っている。


「これ、一体何の魔法ですかっ!?」


 エルトールは、どう説明したもんかと考え、


「簡単に言うと、……現実とは違う場所に、新しく空間を創り出したんだ。今回の場合は、金庫のイメージで空間を作ってある。あ、中の金貨は本物だよ?」

 アリサは目を白黒させていた。「そ、そんな魔法、聞いたことも無いですよ!?」

「そりゃそうだ。僕が開発した魔法なんだから」

「…………………………………………」


今度は黙ってしまった。反応が多様なので面白い。


「新しく空間を創り出すって……師匠って、思ってたよりずっと凄い人だとは思ってたけど、もしかして、思ってたよりずっとずっとずっと凄い人……?」


 ニヤッと笑みを浮かべるエルトール。だが、その時ハッとアイデアがひらめいた。


「……そうか。別に、無理に大きな建物を買う必要は無いんだ」


 だっと立ち上がる。不思議そうにこちらを見上げるアリサ。


「どうかしたんですか?」

 エルトールは顎に手を当てて何かを考え、「……教室が無いなら、作ればいいんだと思ってね」「……えっ?」


 言葉の意味が理解できていない様子のアリサ。

 しかしエルトールの中では、すでに校舎の問題は解決していた。


評価、本当にありがとうございます……!!

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