表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/61

第十九話 王城到着

 馬車はゆっくりと降下して行き、とうとう城へと着地した。

 眠たげな眼をこするアリサを連れて馬車を降りると、そこには鎧を着た兵士たちが待機していた。その中から一際ガタイの大きな男が出てくる。顎まで髭が生えている強面の男だ。


「イルフリーデ様、やっとお帰りになられましたか」

 兵士は腕を組んで仁王立ちしている。

「困りますな。賢者ともあろうお方が、王に断りもなしに飛び出すなど」


「緊急事態だったから仕方ないじゃない」めんどくさそうなイルフリーデ。

「仕方ないじゃ済みませんぞ! 貴方は自覚が足りていない! 貴女が居ない間に王都が襲撃でも受けたら、一体どう責任を……」

 と、そこで男の鋭い眼光がこちらを向いた。「……そこの男は誰です?」

「拾い物よ。気にしないでいいわ」


 兵士と眼が合う。エルトールは相手を刺激しないように、笑顔を浮かべた。

「エルトールと申します」

「なるほど、エルトールとやら。最低限の礼儀は持っている様だ。私は王騎士のバーノンだ」


 ――騎士か。と内心苦笑い。騎士の相手をするのは帝国に居る時から苦手だった。彼らはとにかく礼儀に口うるさいのだ。


「お前は何故この城の敷地を踏んだ? 目的を答えよ」


 エルトールが答えようとした時、

「バーノン。私が連れて来た客人を尋問する気かしら? いくら騎士と言えども、私に逆らっていい権限は無いはずよ」

 イルフリーデが口を挟んだ。


「イルフリーデ様。ならばせめて、この男の素性を……」


 イルフリーデがちらっとこちらを見る。エルトールは頷き、

「……僕は帝国からやって来た魔法使いです。向こうでは、賢者の位を得ていました」

「――何?」

「はい、明かしたわ。もういいでしょ」

 バーノンが何か言おうとするのを、今度こそ止めた。


「早くこの二人に部屋を用意して頂戴。今日の昼には王と謁見させるからその準備もしておきなさい。ほら、行くわよ」


 イルフリーデがメイドのマヤに指示を出しながら、すたすたと歩きだしてしまったので、こちらも慌てて付いてゆく。

 後ろではバーノンが「一体どういうことですか!?」と叫んでいたが、イルフリーデは聞こえないふりをしていた。なかなか城の中でも曲者の様だ。


 その後エルトールとアリサの二人は、お城の客間らしい部屋に案内された。高級そうなソファーにカーペット、壁には装飾のついた剣なんかが飾られている。


「……時間になったら昼食を持ってくる。昼過ぎには、イルフリーデ様が王と謁見の機会を設けてくださるから、それまでに身だしなみを整えておけ。もしイルフリーデ様に恥をかかせるようなことがあったら、今度こそコロス」

 マヤはそんな物騒なことを言い残して、部屋から去って行った。


 そして久々に二人になった師弟。アリサはローブを脱ぎ捨てて、「すごいすごい!」と言って部屋に走り込んでいった。

 エルトールも続いてローブを脱ぐ。なんだか、広い部屋に来るというのがとてつもなく久しぶりな気がした。


「師匠! この椅子凄い! 沈み込むっ」


 アリサがソファーに腰かけて沈んでいた。エルトールもその隣に腰かける。……うむ、素晴らしい。馬車の椅子も上質ではあったが、やはりスペースの限界があった。


 そのままソファーでふわふわしていると、暫くして食事が運ばれてきた。それはもう豪華な朝食だった。

 パンに果物のジャム、それから魚のソテーに、ミルクまで付いていた。エルトールもアリサも、食事の間は何も言わなかった。


 ――そして、食後。


「入るわよ」

 イルフリーデが訪ねると、部屋には満腹状態でソファーに沈み込んでいる二人が居た。

「……そのまま寝たりしたら駄目よ。直ぐに王との謁見があるから」


「ああ、大丈夫。理解してるよ」エルトールはふぅ、と息を吐いた。

「師匠、大丈夫ですか? 王様と会うだなんて……」

「魔法学校を開くんだ。王から直接許可を取る必要が、どうしたって出てくる」


 辺境の村なら無許可でも問題ないだろうが、それでは生徒が集まらない。

 イルフリーデが反対側のソファーに腰を下ろし、


「まあ安心なさい。私が推薦するのだから、王は聞き入れるわ。それに、貴方は帝国の賢者でしょう。魔法で後れを取っている王国で、帝国の賢者が学校を開きたいだなんて、こちらからしてみればそれこそ願っても無い話なのよ」

「本当でしょうね! 嘘だったら承知しないから!」


 イルフリーデは肩をすくめ、

「一応言っておくけれど、私は『王は、聞き入れるでしょうね』と言ったのよ。決して許可の取り付けを約束するわけではないわ。王の他に、戦わなければならない相手が居るのだから」


 二人は首を傾げた。王との謁見だというのに、他に誰と戦うというのだろう。


面白いと思った方、高評価とかブクマとか感想とかしてくれると滅茶苦茶嬉しいです!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ