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021_経験値分配

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 021_経験値分配

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 ポルテが集めたポーターは、皆若い。Eランクダンジョンに入るポーターの中から、ポルテが親しくしているポーターを集めたので若いのは当然だろう。

 ただ、あるポーターに声をかけたのだが、6人で40パーセントという報酬では「うん」とは言わなかった。

 そのポーターは収納士というジョブだったため、今回の仕事には丁度良かった。しかし、報酬が少ないと単純に考えて断ったのだ。


「ケットとジェンは収納士だから、おいらよりもたくさんの荷物を持ち運べるよ」

 ポルテが紹介した5人のうち、2人は収納士。1人はポルテと同じ解体士、あとの2人は冒険者としてもやっていけそうなジョブだった。ただ、残りの2人は戦いがあまり得意ではないということで、ポーターをしているらしい。


「僕はジュンです。こちらはルルデさん。今日はよろしくお願いします」

「ルルデだ」

「なあ、本当に大銀貨を稼がせてくれるのか?」

「昨日、ちゃんと話しただろ」

 ポルテは全員に大銀貨が稼げると話した。それを収納士の少年のケットがジュンに確かめた。

「ポルテのことは信用しているけど、こっちの冒険者は今日初めて会うんだから、確認しとかないといけないだろ」

「ケットの言う通りだね。報酬の確認は大事なことだと僕も思う」

 ジュンは嫌な顔をせずに、報酬の話をする。

「報酬は全体の40パーセントをポーターの6人に渡す。最低でも大銀貨1枚を渡す。これでどうかな?」

「問題ない。俺はケット。改めて、よろしくだ」

「僕はジェンです。よろしくお願いします」

「おいらはクク。解体士だよ」

「おらはピクエなんだな。よろしくなんだな」

「私はメメヌよ。よろしくね」

 5人の自己紹介を聞き、さっそくパーティーを組んだ。パーティーを組むと言うと驚いたが、ポルテもパーティーを組んでいると言うと、5人もパーティーに入った。

 冒険者ギルドは5人以下のパーティーで、ダンジョンを踏破するとランクアップできる。

 しかし、ステータスボードで管理できる(パーティーを組める)上限は5人ではなく15人だ。パーティーが得た経験値は均等割りなので、15人になると当然ながら1人の経験値は少ない。

 今回は全員で8人になったから、経験値は8等分になる。それでも、ポーターたちはお金がもらえて経験値まで得られると、喜んだ。


 ケット(収納士。人族。Lv1。男)

 ジェン(収納士。リス獣人。Lv2。男)

 クク(解体士。小熊貓レッサーパンダ獣人。Lv3。男)

 ピエク(警備員。大熊猫ジャイアントパンダ獣人。Lv7。男)

 メメヌ(槌士。ドワーフ。Lv8。女)


 6人もポーターを引き連れていくため、入り口の受付で「え、6人?」と言われてしまった。それでも無事にEランクダンジョンに入った。

 冒険者が多く陣取る場所を避けて、ビッグボアの群れがいくつもある奥へと向かった。

 昨日、残してきたビッグボアの皮は、もうなくなっていた。たまたま冒険者が通りがかって回収したのかもしれないが、魔物の死体や人間の死体、それに外から持ち込まれたものを放置するとダンジョンに吸収されてしまう。あれだけの量だ、ダンジョンに吸収されたと考えるほうが自然だろう。


「ポルテたちは、僕と一緒にここで待とうか。ルルデさん、お願いします」

「おう、任せろ!」

 ザンッと地面を蹴ったルルデが走り出した。


「おい、ポルテ。俺たちはどうすればいいんだ?」

 ポルテはこの状況を経験しているから背負い袋を下したが、初めて見る5人はどうすればいいのか分からない。ポルテにどうすればいいかと確認した。

「狩る魔物は昨日言ったようにビッグボアだよ。ルルデ姉ちゃんがたくさん連れて来たビッグボアをジュン兄ちゃんが倒すから、おいらたちは解体用のナイフを出して待っていればいいんだ」

 よく分からないが、ポルテが言うように背負い袋を下してナイフを用意した。


 しばらく手持ち無沙汰で待っていると、ルルデが大量のビッグボアを引き連れて帰って来た。

 その光景を見た5人は、青い顔をして慌てふためいた。

「早く逃げようぜ!」

「僕、もう死ぬんだ……あぁ……」

「嫌だ、まだ死にたくないー」

「こ、怖い……」

「あれじゃあ、骨も残らず食われるわね……」

 5人は絶望を味わった。その瞬間、大気を切り裂くように閃光が走り、轟音で鼓膜が強震した。

 5人は耳を手で押さえ目を閉じて、その場に座り込んだ。だが、いつまで経っても、痛みはない。魔物に食われて感覚がおかしくなったのかと思った。


「おーい、いつまで座ってるのさ。解体するよー」

 ポルテの呑気な声が聞こえて、目を開けると信じられない光景が広がっていた。

「「「「「え?」」」」」

「解体するよー。早くしないと、次が来ちゃうからね」

「「「「「えぇぇぇっ!?」」」」」

 現実に引き戻された5人は、ポルテに背中を押されて解体作業に入った。

 よく分からないが、自分たちは助かった。それどころか、目の前には息絶えたビッグボアが大量に転がっている。

 まったく理解が追いつかないが、5人は現実を見つめるよりも解体に集中した。今はそうしたい。そう思ったのだ。


 ポーターだけあって、5人の解体の腕はジュン以上のものがあった。ジュンも6人に混じって解体し、51体のビッグボアの解体を30分ほどで終わらせた。

 それとほぼ同時に、ルルデが次のビッグボアを引き連れて帰って来た。

 5人は体を強張らせはしたが、先ほどのように騒ぐことはなかった。


「サンダー」

 ジュンが雷魔法・サンダーを発動させてる。

 バリッバリッバリッバリッバリッ!

 閃光と轟音が発せられ、ビッグボアの大群は一瞬で動かなくなった。

「「「「「はぁ?」」」」」

 ポルテも最初は驚いたが、5人は2回目でも驚いた。と言うより、呆れた。さらに、こんなことがあっていいのかと、疑問に思った。


「解体するよー」

 ポルテの声で解体が始まった。5人は受け入れるしかない。目の前にはビッグボアの死体の山があるのだから。

 5人は解体に集中した。考えてはいけない気がしたのだ。

 この2回分の解体だけで、99体になった。肉と皮はそれぞれ990キロになる。


「ジュン兄ちゃん。99体分全てを持ち帰ることは無理だよ」

 肉だけで昨日の倍以上の990キロになっている。

 収納士のケットとジェンはスキル・収納があるため、それぞれ150キロまで運べる。ジュンのアイテムボックスと合わせて470キロ。

 あとは皆が持てるだけになるが、ルルデのように100キロ以上を持てるわけではない。


「じゃあ、3回目からは魔石だけ持ち帰ろうか」

「「「「「まだ狩るの!?」」」」」

 ジュンの言葉に5人が反応し、恐ろしいものをみるような目をジュンに向けた。

「今日は4回狩る予定なんだ。あと2回、魔石だけなんだけど、よろしくね」

 柔和な笑みとは裏腹に、言っていることは極悪だ。5人は悪魔を見たと、この時思った。悪魔は笑みを浮かべて人の警戒心を解きほぐすのだと。


 3回目、4回目と順調にビッグボアの大群を潰したジュンは、ほくほく顔で冒険者ギルドに帰った。

 990キロの肉と206個の魔石を持ち帰り、冒険者ギルドに買い取ってもらった。

 魔石が206個で銀貨618枚、肉は990キロで銀貨297枚。ポーターの取り分は40パーセントなので、銀貨366枚。1人当たり銀貨61枚(大銀貨6枚、銀貨1枚)になる。


「「「「「おぉぉぉっ」」」」」

 Eランクダンジョンで、たった1日(実際には半日程)の報酬としては破格の金額になり、5人は大喜びした。

 ジュンもこのメンバーなら、4回どころかもっと狩れると思って嬉しかった。しかも、経験値の溜まりが遅いのがいい。ジュンは最大の15人まで増やそうかと、本気で考えた。


 翌日も同じメンバーで狩りを行い、5回狩った。ポーターたちは100体分を解体して、あとは魔石だけ回収した。

 その翌日も5回狩ったので、その次の日は休みにした。ジュンも含めて7人(ルルデは含めない)とは言え、100体もの解体を3日連続でしていると疲れてしまうというのが理由だ。

 実際、ポルテたちポーターはかなり疲れた顔をしていた。

 その夜は溜まったCHSCを、久しぶりに能力に振ることにした。


 魔力+30(CHSC100ポイント)

 知力+30(CHSC300ポイント)

 抵抗+30(CHSC300ポイント)

 器用+10(CHSC100ポイント)

 合計CHSC800ポイント


「あ……出た。サンダーレインが上級魔法なんだ」


【消費CHSC1200】

 ・雷魔法 サンダーレイン アクティブスキル 消費魔力60ポイント 攻撃力300 範囲 1/3の確率で感電が発動 発動時間15秒 再使用60秒


 風属性の上級魔法も出たが、雷属性のほうに目が行ってしまう。

「CHSCの消費が1200ポイントって、バカ高い!」

 眉間にシワを寄せたジュンであったが、迷わずサンダーレインを取得した。おかげで残りCHSCは97ポイントになってしまった。

「今の魔力は245だから、サンダーレインは4回で魔力がすっからかんになってしまう……」

 だが、現在のCHSCは97ポイントしかない。ビッグボアなら中級雷魔法・サンダーでなんとかなる。それに、中級風魔法・トルネドもある。

 上級雷魔法・サンダーレインを使うのは、まだ先なのでそれまでに魔力を増やそうと思った。



 +・+・+・+・+・+・+・+・+・+


 ●ジュン・ステータス

【ジョブ】効率厨(アフィセンレーター)

【レベル】17

【経験値】56/5400

【生命力】70/70

【魔力】245/245

【腕力】24

【体力】33

【知力】135

【抵抗】130

【器用】82

【俊敏】37

【スキル】チェーンスコア

【感覚スキル】聴覚強化Lv2

【補助スキル】時間短縮Lv3

【下級魔法】エアカッター

【中級魔法】トルネド サンダー

【上級魔法】サンダーレイン

【CHSC】97

【身分】冒険者

【賞罰】




 ●ルルデ・ステータス

【ジョブ】黄金戦士(ゴールドソルジャー)

【レベル】16

【経験値】3153/5100

【生命力】290/290

【魔力】42/42

【腕力】126

【体力】131

【知力】21

【抵抗】47

【器用】42

【俊敏】126

【スキル】黄金気(ゴールドオーラ)Lv2 黄金獅子(ゴールドライガー)

【身分】奴隷

【賞罰】



 

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