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013_Fランクダンジョン

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 013_Fランクダンジョン

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 Gランクダンジョンのボス部屋の中にはレッドスライム1体、イエロースライム2体、スライム3体が陣取っていた。

 今度は風魔法・トルネドで一掃した。

 レッドスライムが居ても、イエロースライムとスライムではCHSCは増えなかった。それが分かっただけでも良かったと、魔石を拾った。

 雷魔法・サンダーだと魔石は残らなかったが、風魔法・トルネドだと残った。


 ダンジョンのボスを倒すと、入り口の前に転移できる扉が現れる。地上のダンジョン入り口のそばに、その扉は繋がっているのだ。地上からその扉は開けることができないが、ボス部屋からは開けることができるものだ。

 扉を通って地上へ戻ったジュンに、ダンジョンの入り口を管理している冒険者ギルドの職員が近づいて来た。


「Gランクダンジョンの踏破、おめでとうございます。貴方の身分証を確認させていただけますか」

 言われるがままに身分証を提示し、それを確認した職員はにこやかに返却した。


「これはGランクダンジョンの踏破証明書です。ギルドの受付でこれを提示すると、ランクアップできます」

「ありがとうございます」

 職員からランクアップの紙切れをもらったジュンだが、まだ冒険者ギルドの建物にはいくつもりがない。


 1時間ほど入り口の前で休憩したジュンは、再びGランクダンジョンの中に入って行った。

 それを訝しげに見送る職員。普通の冒険者はGランクダンジョンを踏破したすぐ後に、またGランクダンジョンに入ったりしない。

 冒険者ランクがFになると、Fランクダンジョンに入れる。

 金にならないGランクダンジョンに入るよりも金になるFランクダンジョンに行くのが、冒険者として当前の行動なのだ。


「なんだ、あの子?」

 職員がぽつりと呟いた声は、誰にも聞こえなかった。


 再びGランクダンジョンに入ったジュンは、レッドスライムを一掃した。

 倒したレッドスライムは33体。取得経験値は330ポイント、CHSCは63ポイント。

 ここでレベルが11に上がってレベル差が6になってしまったので、Gランクダンジョンのレッドスライム狩りは終わりにした。

「あれ? CHSCが普通に増えている?」

 経験値はレベルが上った時点で切り捨てになっていたが、CHSCは倒した分が全ポイント入っていた。

「CHSCは経験値のように切り捨てにはならないんだ」

 それはそれで美味しい。経験値がギリギリのところで大量に魔物を倒せば、それだけ多くのCHSCが稼げるということだ。

 その機会はそれほど多くないだろうが、そんな時があればできるだけ多くの魔物を狩りたい。


 ジュンはモーリスの護衛であるゲッツに教えてもらった宿にチェックインした。

 その部屋の中でベッドの縁に腰を下ろし、自分のステータスを見つめる。

「レッドスライムは、経験値の溜まりが早かったな……」

 そこでFランクダンジョンの冊子を開く。冒険者ギルドでランクアップの手続きをしたついでに購入したものだ。

 荒野タイプのFランクダンジョンに出てくる魔物は、ゴーレム系だ。


 ゴーレムLv6、マッドゴーレムLv8、ロックゴーレムLv10。

 ゴーレムとロックゴーレムは、雷属性の相性が悪い。だが、風属性は問題ない。

 逆にマッドゴーレムの弱点は、雷属性になる。

 シャル婆さんが言っていたように、2属性使いで良かったと思った。


「取得できるスキルは……」

 次はステータスボードを開けた。CHSCは1421ポイントある。

 ステータスを上げるか、それともスキルに使うか迷うところだ。

 こういう時にシャル婆さんが居たらと思うが、甘えた考えばかりしではいけないと自分を戒める。


 Fランクダンジョンで最もレベルが高いのは、ロックゴーレムLv10だ。

 ジュンの魔力、知力、抵抗は、レベル15の魔法使いとほぼ同等だが、ステータスのアドバンテージはできるだけ多くほしい。


 今日はGランクダンジョンを2周したが、さすがに疲れた。体力を上げればそこが改善できるだろうと考えてポイントを振る。

 持久力のために体力を、もし攻撃を受けた時のために生命力を、あとは知力、抵抗、器用の魔法使い系パラメーターを触る。俊敏も逃げる時に必要になる。

 ここまでくると腕力にも振っておこうかと考える。


 生命力+30(CHSC100ポイント)

 魔力+30(CHSC100ポイント)

 腕力+15(CHSC150ポイント)

 体力+15(CHSC150ポイント)

 知力+15(CHSC150ポイント)

 抵抗+15(CHSC150ポイント)

 器用+15(CHSC150ポイント)

 俊敏+15(CHSC150ポイント)


 次は覚えることができるスキルの一覧を見つめ、ジュンは腕組みして考えた。

 方向性としては、これまで通り魔法で魔物を一気に殲滅させる。

 風魔法・トルネドや雷魔法・サンダーの上位魔法はまだ出ていない。だったら、現在ある魔法を補助するスキルがあればと探した。

「これ、いいかも」


【消費CHSC120】

 ・時間短縮Lv1 パッシブスキル スキルの発動及び再使用時間を10パーセント削減する


 たった10パーセントだが、スキルの発動及び再使用時間を削減してくれる時間短縮Lv1。レベルがあるということは、さらにレベルを上げることができ、もっと時間を短縮できるということだ。


【消費CHSC150】

 ・聴覚強化Lv2 パッシブスキル 自身の耳の収音機能を強化する


 すでに持っている聴覚強化。そのレベルを上げるのも良い。

 考えた末に、時間短縮Lv1と聴覚強化Lv2を取得することにした。


「たくさんCHSCを消費してしまった……」

 だが、後悔はない。これは自分がもっと成長するための投資なのだからと。


 翌日、朝早くにFランクダンジョンに入った。

 ゴーレムは砂でできた魔物。防御力が高い魔物である。

 Fランクダンジョンは荒野タイプだ。不思議なことに青空があって、太陽まである。どういった原理かは分からないが、これがダンジョンの不思議なところなのだ。


 入り口からボス部屋に向かうルートは多くの冒険者によってゴーレムたちが狩られていたので、ジュンは冊子を開いた。

「うーん、ここへ行くか」

 冊子の地図を見ると、ゴーレムの群れが複数固まっている場所が数カ所ある。

 そこには近づかないほうがいいと冊子には書いてあるが、ジュンの目的はそういった群れなのだ。


 群れの溜まり場に向かうと、徐々に冒険者の姿がなくなっていく。

 喧騒もなくなっていき、聴覚強化Lv2によってゴーレムの音を聞き分けやすくなった。

 音と地図を突き合わせ、進んでいくとゴーレムの群れを視認できた。

 その群れは8体のゴーレムの群れだったが、その奥に同規模の群れが2つあるのが聞き取れた。


 ゴーレムのレベルは6。動きの遅いゴーレムの俊敏値は推定で15から20程度。

 ジュンの俊敏値よりも低い。俊敏値では勝っているので、捕まることはないだろう。

 ただし、生命力と体力が高いため、風魔法・トルネド1発で倒せるかやってみないと分からない。


 今回のポイントはマラソンである。ゴーレムの群れをいくつか引き連れて走るのだ。

 ここで生きてくるのが、体力値だ。この体力値が低いとマラソンは長続きしない。

「上げてて良かった、体力値ってね」


 ジュンは走った。ゴーレムの群れを引き連れて走った。周囲に冒険者が居ると、迷惑になるので聴覚強化で音を探りながら走った。

 走れ、ジュン。まだまだ群れはいるぞ!


 6つの群れを固めたところで、ジュンは風魔法・トルネドを発動させた。

 風魔法・トルネドの発動時間である4.5秒の時間的距離を稼がないといけない。ゴーレムを引き連れてマラソンをしながら、その距離を測った。

 走りながら魔法を発動させることができればいいが、残念ながら立ち止まらないと魔法は発動できない。


 4.5秒後、風魔法・トルネドが発動し、ガリッゴリッとゴーレムを刻んでいく音がする。

 風魔法・トルネドの発動時間は5秒、再使用までの時間は25秒だが、スキル・時間短縮Lv1があることで10パーセント短くなっている。


 ゴーレムたちは風魔法・トルネドによって一掃された。

 しかし、目の前まで迫ったゴーレムの恐怖を思い出すと、心臓がバクバクと早鐘を打った。

「一歩間違ったら、風魔法・トルネドを発動するどころじゃないな……」

 4.5秒という時間的距離を間違えたら、接近戦で弱いジュンはひとたまりもない。


 ゴーレムの死体は全部で55体。経験値が825ポイント、CHSCが105ポイントだ。

 ゴーレムは魔石以外に売れる素材はない。だから魔石だけを回収しようと思ったのだが、それもかなり時間がかかった。

 ビックモスキートのように簡単に魔石を取り出せないので、鉈で胸を抉って魔石を抜き取る作業は時間と体力と精神力を疲弊させるものだった。


 

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