たしかにあるもの part.1
小説書いてみました。あらすじはふざけましたが、本編はふざけません、多分。漫画大好きなので、パロディイとかは入れるかも…もし気付いたら気軽にレビューなどお願いします!これから末永くよろしくお願いします。
人はなぜ席を譲らないのだろうか。ケガをしている?どうしようもないくらい疲れてる?いつもと違う電車の風景を楽しんでる?老人が嫌い?きっとそこに理由が無い人もいるだろう。そのまま寝たふりをして、自分だけは穏便にすませようとしているかもしれない、ドアの近くの彼のように……。
そう、何事にも意味があると言うわけではないのだ。
異世界への扉がどこぞの国によってこじ開けられてから、早3年。あらゆる人間が夢とロマンと戦果を求め、ゲートの奥に消えて行った。しかし、仕組みと言うのは時には何より速く形骸化するものである。つまり、本来は未来有望なウォーリアを育てる国立養成学校が、推薦目当ての秀才と補助金目当ての貧乏人で埋め尽くされるのに時間はかからなかったと言うことだ。そして、3年という期間は母子家庭の僕が進路を考え直すのにも十分な時間だったということだ。もちろん、そこに何の意味も無かった可能性もある。というか僕のことをよく知らない人の大半は、そう思っているだろう。
しかしまあ、世の中も恐ろしいもので、徴兵制などというものが彼の国で行われると、次々と周辺諸国でも行われるようになり浅からぬ因縁を持つ我が国も、もうそろそろではないかとも噂されている。ともなると最初に徴兵が行われるのは養成学校なのではないか、ともっぱら言われているが、まだ半人前の僕たちを戦争に駆り出す馬鹿はいないだろうというのが僕の意見だった。そんなわけで僕は、別に疲れても無くケガもしてないし、いつが最後とも知れないまま今日の日を特別にしようと席に座るなどはしてないわけだ。
電車が止まり、ドアが開く。
「よっす、ヒカゲくん」
「…桂さん」
「うっわ、うちのこと下の名前で呼んでっていったよねー。桂、ならまだしも桂さんッなんて、君以外には言われないよ?」
このうるさい人は桂さん。よくしゃべるからクラスのみんなに好かれている。
「どうして桂さん登校してるの?今日補修日だよね?」
「あー私インフル&おたふくのダブルパンチで二週間ちょっと休んだからねー。流石に来いって言われちゃった」
「桂さん意外に成績いいもんね」
「おいおい、意外って何だー?教えて欲しいのかな?そうなら素直に言ってくれれば、教えてあげようかなー!」
テスト翌日までゲームしてたからね、なんて言い訳、流石に格好悪すぎるから言わないが、とてつもなくなんか悔しい。次はちゃんとやろうかな。
「…それにしても、噂に寄ると今日の補修は先生だけじゃなくて、成績優秀者も補修に参加するんだってー」
どういうことってそれってつまり…。
「気付いた?学年三位の私はそれに選ばれてるんですー!ヒカゲくん、私がみっちりかっちり教えてあげるからねー」
「くっ」
話しかけてきたのもそれが目的か…。
「なんだなんだ。うるさいと思ったら桂とキョウじゃないか」
「お、ヒカゲくんに引き続き名字呼び二号だ」
「桂、悪いけどキョウには伊月鏡弥という立派な名前があってだな、ヒカゲだなんて1文字もかすってないあだ名は……」
「でもでもー入学してからずっと左下の席ってすごくなーい?ねえ伊月クン」
「そんなこといったらシュウはずっと前の席だよ」
「元宮クンの話はどうでもいいー」
「おい桂、おまえなあ」
僕とシュウはお互いに目をみて笑った。桂さんも笑っていたかもしれない。
「二人とも、ついたよ」
「おう」「うん」
国立阿久空高校、僕らの通っている高校の名前。
この二人にとって、桂景火そしてシュウーー元宮修也に関して言えば、因縁の地といえるのかもしれない。
思えば僕らは学校での立場も周りからの評価も違うが、学校の奥の、なにか、だけど確実にあるものに対する思いは似ていたのかもしれない。
ほんとのことを言うと、やっばーいちこくちこくー!ってやつやりたかったです。