第四章
前の続きです。
どうぞー
数日がたった朝の教室。
クラスでの人間関係はある程度、構築され始めていた。
クラスの中心は、桐生を中心として集まった、男女混合のグループ。
その他には少数で話す男子グループと女子グループがちらほらある
俺はというと、隣の川之内と、
「おっす~」
「なんの用だよ」
「用が無かったら来ちゃいけないのか~あっ、川之内さんもおっす~」
「お…おはよう」
「はぁ~」
入学して二日目から何故か俺に絡んでくる、この、長髪気味な茶髪でいかにもチャラい感じの男子、西条雅明との謎の三人グループが出来上がっていた。
そしてもうひとつ不思議な事にこの三人になると周囲の注目が集まっているように感じる。
「なぁなぁ、ちょっと聞きたいんだけどさ~」
西条はそう言って俺に耳打ちをしてくる。
「お前ってさ、モデルのアカコちゃんと同じ寮に住んでたりするのか?」
「何でだよ!有名人があんな格安寮に住むわけないだろ。てか、どこの寮にも居ないってことじゃなかったか?」
俺は入学して二日目のことを思い出す。
モデルのアカコがこの学校に入学してると教室内で騒ぎになった。
何人かは、アカコを見に行こうと言って芸能先行の教室まで行っていたりしていた。
正直、俺はいずれ住んでる寮も特定されるのではと心配していた。
だが、その日の夜、赤池からお願いを受けたのだ。
「お願い!私がここの寮に住んでるのは内緒にして!」
「それはいいけど、芸術科は寮に入るのが原則だろ。だから、赤池がここに住んでるって、いずれ特定されないか?」
「大丈夫。甲斐谷先生には、他の先生方に変な噂を避けるためって事で、私が寮には住んでいないって事にするよう説明してくれるし、蘭子先輩や里美先輩にもそう言うことで言ってあるから、あとは、近衛が了承してくれればいいだけなの、だから、お願い!」
彼女は俺に拝んでくる。
まぁ…別に断る理由はないな。
「いいよ」
「ホントに!」
赤池はそう言うと、距離を詰めてきて俺の右手を両手で握ってくる。
おいおいおい。近いし、めちゃ恥ずかしいんだけど!て言うかドキッて一瞬しちゃったよ。アカコを好きな奴がこれを見たら間違いなく半殺しレベルで罰を受けそうだ。
俺は目を反らしながら答える。
「別に断る理由も無いし、それにそういう事になってるなら、赤池がこの寮にいることを疑われても、違うって言いやすいしな」
「やったー。ありがとう!」
そう言って彼女は、満面の笑顔を向けてくる。
その表情に俺はまたドキッとしてしまった。
と言うことで、赤池はどこの寮にも住んでい無いって事が学校中に広まった。
「やっぱり寮には住んでないか~」
「何でそんなに気になるんだよ」
すると西条は俺の両肩に手を置き激しく熱弁し始める。
「だって、あの有名なアカコちゃんだぞ!モデルや女優としての実力は言うに及ばず、バラエティー番組なんかで見せるあの笑顔。クゥ~、これは、男として必ずや後ろを尾行して住んでる場所を見つけなければならない!」
「いや、お前、それストーカーだから。犯罪だから」
「西条…くん。キモいです。」
隣からも容赦ない一言が入る。
この子、気弱そうに見えて意外に言うよな。
「あっ…女の子からキモいって言われた。もう終わりだ」
西条はうなだれる。
忙しいヤツだよなホント
そんな感じで、赤池の事については、一応はバレないで上手くやれそうだった。
昼食前、最後の授業は、体育だった。
体育は、交流を少しでも増やすため普通科や他の芸術専攻のクラスとも一緒に行われる。
当然だが、男子と女子は別れて行う。
そして、今日は普通科の1年A組と芸能先行のクラスと一緒に体育を行うことになった。
女子は球技でなかなか楽しそうだが、男子はというと、担当の鴇崎先生が急な出張でいないため、外で一時間永遠とグラウンドをランニングすることになってしまった。
俺は最初こそ西条と共にだらだらとグラウンドをランニングしていたのだが、西条は途中からいなくなってしまった。
理由は、女子が体育をやっている風景を体育館の下にある小さな窓から覗いて、可愛い子を見つけたいという何とも変態的で思春期男子らしい願望を叶えたいという。
それと、体育をしている赤池をこの目で見たいとも言っていた。
他の男子も、西条につられて、一緒になって小窓から覗いている。
何とも思春期だな…
俺はその姿をランニングしながらチラ見ていた。
だが、その光景を長く見ることはなかった。
突然、体育館でキャーと言う悲鳴が聞こえる。
少ししてから、女子の体育を担当している山内という女性の先生が外に現れる。
覗いていた男どもは、覗くのに夢中で、悲鳴にも、大きく回り込んで背後から近づく山内先生にも気づいていない様子だ。
ああ…あいつら終わったな。
俺はランニングを一旦止めてその光景を見る。
そして、
「き~み~た~ち。一体何をやってるのかな~」
先生の威圧感溢れる言葉で、覗いていた何人かの背中がビクッとなる。
威圧感ある先生の言葉に一番反応したのは西条だった。
「あっ…山内先生…えっと…そう!これはちょっと疲れたから休憩をしてまして~」
西条の言葉に周りの奴も高速で頷く。
「ほう…下にある小窓から体育館を覗くことが休憩と?」
「いや…これは…小窓に不具合が見られたので、少し修理を…」
段々と西条の言い訳が苦しくなる。
「そんな苦し紛れの言い訳が、通じると思ってるのかな~?」
「いや…その…すみません!」
そしてついに山内先生の圧に負け西条が折れた。
「覗いていた全員ちょっと来て!」
そう言われて、西条含め数人が何処かへ連れていかれる。
西条、生きて帰ってこいよ☆
俺は心の中でそう言い残し、ランニングを再開する。
だが、再びランニングして少ししたとこで、また足を止めることになった。
理由は、体育館から出てくる知り合いの女子生徒2人が目に入ったからだ。
一人は赤池。
そして、その後ろを歩く黒髪でロングヘアーの女の子も俺の知り合いだった。
俺はランニングをこっそり抜け出して、彼女たちの後を追った。
彼女たちはあまり遠くへは行かず、体育館の入り口と通路からは死角になる位置で、足を止める。
俺は彼女たちからは、見えない位置で足を止める。覗くと見えてしまう位置なので、聞き耳を立てるだけにして置く。
「久しぶりだね青ちゃん」
「う…ん久しぶり鳴ちゃん」
「青ちゃん…その…元気だった?」
「うん…元気だったよ」
「そっか…私も元気だったよ…てか、テレビで見ていてくれた…かな?」
「うん…見てたよ。鳴ちゃんが載っている雑誌も買ったりしたよ」
「そっか」
2人のそんな会話を聞いて、俺は昔からの、知り合いだと言うことを確信する。
まぁ…その理由は少し考えれば見えてくるが…
「それでその…青ちゃんは、もう芸能人になろうとは思ってないの?」
「ごめん…鳴ちゃん。その話は、やめてくれない」
赤池の言葉に彼女は、強い口調で答える。
「いや…でもだって昔は2人で、有名人になろうって…」
声を聞いてるだけだが、彼女の強い言い方により、赤池は少しパニックになっていることが想像できる。
「もう…私はやめたの。これからは、一流の大学に進学して、いい会社に入るって決めてるの。だから…もうやめて」
「でも…でも!」
二人の詳しい関係がどういったものなのかは定かではないが、これ以上は2人関係が良くない方向に行きかねない。
俺は、隠れるのをやめて彼女たちの前に姿を見せることにする。
「よう」
俺が声を掛けると、彼女たちは同時に俺に視線を向ける。
「えっ、近衛!」
「えっ、将!」
いきなり現れた俺に対して、二人は同じような反応をする。
さらに、彼女たちは、えっ、とお互いの顔を見つめる。
「もしかして、青ちゃん…近衛と知り合いなの?」
「鳴ちゃんこそ…将と知り合いなの?」
どういうこと?と彼女たちは、今度は俺を見る。
俺は、交互に何故知り合いなのかを教える。
「赤池とは、同じ寮の知り合い。そして、そっちの早乙女青子とは、実家の近い、小中高一緒の幼馴染みだ」
俺が、それぞれとの関係を伝えると、2人とも少し唖然としていた。
「2人も知り合いだったんだな、まぁ…青子はもともと芸能人目指してたから、2人がどこかで会っていたとしても不思議ではないが…」
「近衛…もしかして聞いてたの?」
「悪い。2人で歩いてるのが見えてちゃってな…」
「それで2人は━」
2人に質問しようとしたその時…
「コラー、君。そこで何やってるの!」
視線を向けると、そこには、野郎たちとの話を終えた山内先生が立っていた。
一瞬ヤバいと思ったが、この角度からなら俺しか見えていないはず。
俺は出てくるなと、手で彼女たちを静止する。
「何やってるの!」
「いや~すみません。ちょっと疲れちゃんたんで、水飲もうとしてたんですよ」
幸いにもここには水道場がある、ここにいる言い訳をするには、十分だろう。
すると山内先生は、そう言うことかと納得する。
「あ~そうだったの。ごめんね、怒鳴っちゃって」
山内先生は謝罪して、足早に体育館に戻っていく
本当は水なんか飲みに来てないため、少し心が痛んでしまうな…
山内先生が体育館の中に入った事を確認して、俺は再び彼女たちに視線を戻す。
「とりあえず、山内先生が体育館に戻ったから、その話は、後にした方がいい」
俺がそう言うと二人は頷く。
「そうね…ありがとう。近衛」
「ありがと…将」
そう言って彼女たちは体育館に戻って行った。
昼休み、体育の時間に話した2人から、メールが入る。
内容は、2人とも話がしたいとの事だった。
青子は、昼休み
そして、赤池は、帰ったら話がしたいそうだ。
俺自身も途中で話が終わってしまい、モヤモヤしていたので、即座に『了解』のメールを送り、青子には、ゆっくり話が出来るように、俺の練習部屋に来てもらうようにする。
俺は食事を終えて、西条たちに用があると伝えて、特別棟にある練習部屋に行く。
到着すると、もう既に椅子に座る青子の姿があった。
「遅いし!」
青子は俺を見るなり少し怒り口調でそう言う。
「悪い、友達と飯食ってたんだ」
俺がそう言うと、青子は、小さくため息をする。
「それで、何で鳴ちゃんと知り合いなの?」
「だから、それは、寮が一緒なんだよ」
「嘘よ!鳴ちゃんが、寮には住んでないって情報は私の所にも来てる」
「それはだな━」
俺は、赤池の事を一から説明する。
説明が進むと共に青子は、納得していき、最初の怒りっぽかった感じは、次第に弱まっていった。
「そう言う事だったんだ」
「ああ。だから赤池は、寮に住んでないってことになっている」
「まぁ…有名人だからね、それに鳴ちゃんは、結構そこら辺の事はちゃんとしたいって子だし」
「そうなのか?」
「うん。昔から周りを気にすることが多かったよ
自分が周りからはどう思われてるか、こう言ったら相手がどう思うか、とか、そう言うことをよく気にしてた」
なるほど…だから寮のことで、あんなに不安がっていたのか。
「でも、そう言うとこがあるから、あそこまで、有名になれたんだと思う。本当にスゴいよ」
青子は、そう言って俯きがちに複雑そうな笑顔をする
「じゃあ、今度は俺が聞いていいか?」
「なに?」
「青子と赤池の関係、それについて聞きたい」
俺がそう言うと、彼女は視線を少し泳がす。
そして、ゆっくりと話始める。
「鳴ちゃんとは、小学校の時に同じ養成スクールに通ってたの」
「養成スクールって、アサガオスマイルスクールのことか?」
昔、青子がそんな名前のとこに通っていたことは知っている。それは、あの事件があったてのが大きいが…
「よく名前覚えてるね。そう、そこで鳴ちゃんと会ったの。それで、ダンスとか演技とかよくお互いのを見せ合って評価したりして、一番仲良しだった子なの。だけど、あんなことがあったから…」
『あんなこと』については、俺も具体的に知っていた。だから、その事については飛ばして、その後を聞くことにする。
「それで、あの出来事があってからは、どうなったんだ?」
「その後は、全く会わなかったよ。お互いの連絡先なんて知らなかったし、それに知ってたとしても、私からはしなかったと思う」
青子は、話を終えると、一息つく。
「それで、再開した訳だけど、青子は、どうしたいんだ?」
俺がそう聞くと、青子は更に暗い顔になる。
「わかんないよ。いきなり再開して、何を話したらいいか全く浮かんでこなかったし、パニクってあんな強い口調になっちゃうし、もうホントに最悪」
普段の青子は、真面目で少し刺々しいが何だかんだ世話焼きって言う感じだ。
だか、それは今は見る影もない。
それどころか、今にも泣き出しそうな感じだ。
かなりさっきのことで、精神的にきているのだう。
俺は、これ以上聞くべきじゃないと判断する。
「まぁ…どうするにせよ、まずは、心の整理をするのが先だな」
俺はそう言って、青子の頭を撫でる。
「ヨシヨシ」
そうすると、青子は目から涙が一気に溢れだした。
「うっ…なによ…もう…バカぁ~」
「はいはい」
俺たちの関係は、昔からこんな感じだ。
俺は、少し世間知らずで無頓着なとこがあって、青子はそこを助けてくれる。
そして、俺は、青子がこんな風に弱っていたら、決まってこんな感じで慰める。
何だかんだ、俺たちの関係は、こんな感じで来ている。
これは恋とかそう言う恋愛感情じゃなく、兄妹のような感じのものだと思う。
お互いに放って置けない所があるからこその関係。
青子の涙は、数分たった所で止まった。
俺は、自販機で水を買いに行き、青子に渡す
「ほら…水。これで目冷やせ」
「うん。ありがと」
青子は、水を受けとると、それを目に当てて冷やし始める。
「なぁ…一つ聞いていいか?これは、赤池の事じゃなくて、青子個人の事なんだが?」
「なに?」
「青子は、家族の事とか関係なしに今でもモデルとかになりたいって思ってるのか?」
青子は、やむを得ずその道を諦めた。それは間違いない。だから、数年たった今でもその道に進みたいという気持ちがまだ心のどこかにあるのか、それを知りたかった。
俺は、答えをもらえるまで、少し掛かると思ってたが、意外にも答えはすぐに聞けた。
「芸能人になりたいって思いは今でもある。ファッションショーとかテレビに出て注目されたいって…でも、私の家族の事…将なら分かるでしょ…だからそう言う思いがあっても無理だよ」
そう言って青子は俯く。
青子の家族については俺もわかってる。わかっているけど、人の家の事には、とやかく言えない。
だからその代わり、青子が悲しんでいたら少しでも力になりたいとそう思った。そしてそれが、今の俺たちの関係を作った一つの要因だと思ってる。
「そうだよな…悪い、変なこと聞いて」
「ううん。平気」
結果的にまた青子を少し落ち込ませてしまったが、
青子のまだやりたいという思いが聞けたことで、俺は少し嬉しく思った。
「ていうか、将はなんで、またピアノやろうと思ったの?」
青子は、話題を変えて今度は俺に質問してくる。
どう答えたものか…
川之内には、ああ答えたけど正直な所ちゃんとした答えは、まだ俺の中には無い。
何で、またやろうと思ったか?
その答えを俺は、川之内と会話したあの日から考えている。
しかし、まだ明確な答えは浮かばない。
だから、俺の心の中には、未だに『何故』という問いかけがある。
俺がどう答えようか迷っていると再び青子が口を開く。
「もしかして、なんでそう思ったかわかってない感じ?」
察しがいいな…長い付き合いだからだろうか?
「そうだな。まだ正直、ちゃんとした答えは無い」
俺がそう答えると、青子は、「やっぱりー」と心配そうな、感じの顔をする。
「将って、結構、赴くままって感じだよね。あんまそこら辺、考えて無いでしょ!」
確かに、あまりやる前は考えないな…
俺は青子に言われて、始めて、その事に気づく。
「確かに、そうかもだけど、何でそんなに心配そうな顔してんだよ」
「いや、それは心配にもなるよ、あんたそれ改善してなかないと、いつか詐欺とかに引っ掛かるよ」
なるほど。将来の心配をしてくれてた訳か…
「大丈夫だ。これでも危機察知能力は、楽々寮に入って鍛えられている」
そう言って、俺は胸を張る。
すると、青子は、さらに心配そうな顔になり、頭を抱える。
「何よそれ?ちっとも役に立ちそうな気がしないんだけど」
「フン、お前も楽々寮に来ればわかる。あの、肉食獣たちが住む城の恐ろしさが」
俺は、手振りを大袈裟に行い、どれだけヤバイかを必死に伝える
「確かにヤバいとは聞くけど、その様子なら、大丈夫そうね」
青子は、何故か安心したような笑顔になる。
何で、そんな顔になる。少しは心配してくれ!
「いや、安心した顔してるけど、ホントにヤバいからな!」
「大丈夫よ。それだけ元気なら…それよりも、もうすぐで昼休み終わるから、私は戻るね」
そう言って、青子は椅子から立ち上がり、扉に歩いて行く。
時計を見ると、昼休み終了まで、あと5分少々という時間になっていた。
もうこんなに経ってたのか…俺も教室に戻るとしよう。
そう思い、青子と一緒に出ようとする。
すると、青子が何故か少し怒った表情で言葉を掛けてくる。
「ねぇ…まさか、一緒に出ようとか思ってる?」
「ああ。そのつもりだけど何か問題か?」
「問題大ありよ。いい、ここは、立ち入りの少ない特別棟なの!そこで男女2人が歩く姿を誰かに見られたりなんかしてみなさい。あとで絶対、話題にされて、よからぬことしてたんじゃないかとか、そう言う変な事を言うやつが、出てくるから!」
「なるほど。つまりは、俺と付き合ってるとかそう言う風な勘違いをされるのが、嫌ってことか?」
「まぁ…そう言うことだけど…別に将が嫌いとかではないから」
青子は俺から視線を外して、そう答える。
「まぁ…そこら辺は、なんとなくわかってるよ。
それじゃあ最後にもう一つ聞きたいんだが…」
「なに?」
「今日、赤池とも話すんだが、青子の話が大半になると思う。だから…その…お前の家族の事とか…そう言うことを話しても大丈夫なのか、その確認しておきたいんだ」
青子が自らその手の話をするなら、何の問題もない。しかし、家族でもない俺が、他所の事情をベラベラ話すのは、少々問題がある気がする。
だが、青子の話をする以上は、家族の事情の事は、欠かせない。
だから、俺はこうして確認を取った。
「別に平気だよ。てか、そこら辺は将に任せる。今の私が話しても、たぶんまたさっきみたいになりそうだから。」
俺は少しホッとした。
もし断られれば、俺は赤池が納得する答えを言えず、さらに関係が拗れてしてしまう可能性があると思っていたからだ。
「でも、鳴ちゃんと話したこと、あとでちゃんと聞かせてね」
「ああ。それは、ちゃんと聞かせる」
「ならよし。じゃあよろしくね」
そう言うと、青子は扉を開け教室を出ていく
その数分後に俺も教室を後にした。
ひとまず、青子の方はこれで大丈夫だろう。
どうも~
虹太です。
いかがだったでしょうか~
もし良かったら、感想よろしくです。