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第一章 よろしく

人生は選択の連続です。

当たり前なことですね。

大なり小なりはありますが、貴方はその時何を考えますか?

何を判断基準にしますか?

面白そうだから?

手堅いから?

そうしなければならないから?

それぞれが様々な判断をします。

そして、これを読んでる今でも選択を迫られています。

この作品読もうかな?

面白くなさそう

いや、もしかしたら意外に面白いかも

なんてね笑

ここで私が問いたいのは、何を思うかです。

そして、選んだ先に失敗や成功があるとして、

その人生に果たして明確なタイトルなんてあるのでしょうか?

「ピピピ…」

目覚ましが音を立てて起きるよう促してくる。

時刻は、朝の6時30分

俺は、渋々起き上がる。

今日は高校の入学式。

俺、近衛 将太は今日から高度芸術大学付属才成高校

通称、才芸高校に通う。

洗面を終えて、着替えようとしていると

「おっはよーーーーーー。」

バンと大きな音を立てて扉が開きヤツが勢いよく入ってくる。

来た!今日も来やがった!

朝から俺を悩ます異星人が来やがった!

何やら手には雑誌を持っている

「とう!」

赤みがかり少しウェーブのある髪をして、黙って慎ましやかにしていればモテそうなその女は全力で俺との間合いを詰める。

俺は一瞬で戦闘体勢に入る。

突進してくると読んで、すぐさま体を横にしてかわす。

「甘いわー」

しかし、すぐさま俺のほうに体切り返し、再び突進してくる。

俺は逃げられずに捕まりそのまま布団に向けて倒された。

「がっ」

叩き付けられた瞬間

一瞬息が詰まる。

そして、ヤツは俺に馬乗りになり、持っていた雑誌らしき本を見せてくる。

「見て見て見てー

私雑誌に掲載されてる」

見せられた雑誌を見る。

すると、そこには

『天才cg作家現る』

という見出しと妙に憎たらしいキメ顔の彼女が載っていた。

正直、スゴイと思ったが、それを言えば調子に乗ることが目に見えているためあえて違うことを言うようにする。

「キメ顔がとてもキモいです」

そう言うと、

どうだと言わんばかりに見せつけ来た彼女の表情がニヤーと悪いものに変わる。

ヤバいと直感的に感じる

「むふふふふ。そんな事を言うやつはこうだ。」

そう言った彼女は、俺の脇をくすぐってきた。

「あはははははははやめろーやめてーやめてくださ

ーい」

「新米のくせに生意気言うからだよ」

「あはははははーもうやめっあははははー」

くそ!またこれだ!我ながらなんという様だ!

「まだここに来て3日だってのに随分仲良しだな」

扉の方から声が聞こえ、彼女と俺は目を向ける。

そこには、隣の住人、里美秀一 が立っていた。

隣の2号室住人 2年生 里美秀一

長身でメガネイケメン

この人も雑誌などに掲載されるほどの有名人で小説を書いているという。

そして今、俺に馬乗りになりくすぐるこのいかにもヤバめ系女子高生は二階の5号室住人 2年生 宮園蘭子

「あっ秀おっはよー」

「朝からイチャイチャとは中々の大物だな近衛」

何処をどう見たらそんな風にみえるんだ

「そんなんじゃありません。てか見てないで助けてください 」

俺はここぞとばかりに助けを要求する

「諦めろ近衛この生物は人間には止められない」

俺の言葉は届かず

里美先輩はそう言い残し場をあとにする

ああ…唯一の助かる手が無くなった

てか、もう人間扱いすらしてないとは…

「さぁ続きを始めようか」

目の前の異星人はそう悪魔の囁きをする。

そして、またくすぐりを再開した。

「もうやめっああああああああああああああ」


本当に俺はヤバい所に来てしまったと今更ながら思う。

ここの学校は普通科の生徒以外は寮に入ることを義務付けられており、俺の住むこの寮は、学校が設置するなかでも一番の格安寮だ。名前は楽々寮。だが生徒の間では『負の巣窟』とも言われヤバい人がたくさんいると言う噂が出回っているらしい。

住人は男が俺と里美先輩、女は宮園先輩と管理人の甲斐谷先生のあわせて4人だ。

トイレやお風呂は共同でご飯は食費のお金を使い自分達で用意する。

俺は、一番安いところだと入学説明の資料で見て、ここにしたのだが、それがまずかった。

入寮初日から蘭子先輩にオモチャのように扱われ、脇が弱点ということを露呈してしまうという失態を犯し、甲斐谷先生には手足のように扱われるなどして、俺は入寮して3日目で、すでに肉体的にも精神的にも過去最悪になっていた

ああ…もう一度選択をやり直したい。

助けてください神様。


そんなこんなで俺の青春は最悪のスタートとなった。




2

「ハァー疲れた」

蘭子先輩の襲撃は朝から俺の体力の大半を削って行った。

毎朝これじゃ俺はいつか死ぬかもな

そんな事を考えながら正門を通ると新入生らしき人だかりが目に入る。

遠目にだが、紙が貼られているのが分かった。

俺は、人だかりの後方で立ち止まり、貼られている紙を見る。

どうやらクラス分けの紙が掲示されてるようだ。

身長が低ければ中に入り込んでいかなければならないが俺の身長はそこそこデカイ。

少し背伸びをすれば大体見える

自分のクラスを確認する。

「え~と…あった」

俺は行く教室で割り当てられた中に自分の名前を確認する。

そして、すぐその場をあとにした。

この学校は普通科と芸術科が存在している。

普通科は、簡単に説明すればそこそこレベルの高い大学に行ける位の授業を受けていて他の学校とは大差ない。だが、芸術科はと言うと様々分野に分かれ専門教育を受けるようになっている。

具体的には、音楽や絵、芸能、プログラミングの分野の高度な指導が行われている。

そして芸術科として入学するためには、専攻する分野での一定の能力を認められなければ合格することはできない。

さらにそのなかでもランクを付けられ高い順に高待遇を得られるというシステムだ。

俺は音楽を専攻しており評価はA~DのうちのA評価を貰っていた。

この評価をもらえば学費と寮費は全額免除され練習場所などを優先的に決めさせて貰えるという中々に素晴らしいものだ。

指定された教室へ入ると、コンクールで見かけた顔がちらほら見えた。

どうやらここが、音楽専攻のクラスらしい。

俺は席順の掲示されている黒板の前に向かう

その途中、クラスにざわめきが起きる

何事かと思いチラッと周囲を見渡すと、視線は俺に集まっていた。

「彼ってあれだよねピアノの…」

「そうそう近衛くん」

「やめたんじゃなかったの?」

そんな話しをする声が聞こえてくる

ああ…そういうことね

俺はすぐに視線を黒板に移し気にしないようにして掲示されている席順を見る。

一番窓側の最後方

なんというベストポジションだ

もはやこんなざわめきすらどうでもよくなってくる

俺はランラン気分で席に着いた

すると、着いた瞬間に隣の席の女の子が話しかけてきた。

「あ…あの川之内美鈴…です。よろしく願いします。」

黒髪のショートボブで小さいその女の子は

か細い声で俺に挨拶をしてきた。

いきなり声を掛けられたので少しビクッとしてしまう。

「えっと近衛将太です。よろしく」

軽く自己紹介の言葉を述べる。

「知って…います」

すると彼女は、何だか少し嬉しそうにそう言ってきた。

「ピアノの近衛。私たちの世代では有名ですよ」

なるほどね

彼女はそう言ってくるが、少しは有名という自覚があるのであまり驚きはしない。

とりあえず、謙遜の言葉でも返して置こう。

「へぇーそうなんだ。でもたまたまいい成績残せただけだよ」

「そんなことは、無いと思いますけど…」

正直、少し居心地が悪い。

そんな思いがあったが、教室に入って来た人物によりそれは消し飛ぶ。

『うぉぉぉぉ』

先程俺に気付いた時よりも更に大きなざわめきが起こる。

それと同時に何人かの生徒がその人物に駆け寄る。

視線を向けるとあいつがいた。

桐生涼介

少し癖のついた黒髪に端正な顔立ち、

そして音楽の世界では超がつく有名人だ。

ピアノコンクールでは文句のつけようもなく一位

海外でもその才能を発揮しテレビや雑誌にも取り上げられるまさに天才だ。

「すごい人気だね」

川之内は少し興奮した様子で俺に話しかけてくる。

「超が付く有名人だからな無理もない」

俺は平静を装ったが内心は嫌な気分だった。

あれとは、仲良くなれそうにないな

そんな事を思いながらしばらく彼の方を眺めていた。

そうして少し経つと

「席に付いてくれ」

担任であろう先生が姿を現す。

桐生から視線を外して教室に入ってきた先生を見ると

ゲッという声が漏れてしまった。

その先生は俺の住む楽々寮の管理人、

独身の甲斐谷だ。

すると、甲斐谷先生と目があってしまった。

甲斐谷先生は、俺にウインクをかましてくる。

サラサラそうな黒髪のロングヘアーに加えて美人な容姿のため目を奪われがちになってしまう。

しかし、惑わされてはいけない。

この教師は、寮に入って初日の俺の歓迎会で酒に酔った勢いで、俺に自分が30才の独身であることを伝えてきたうえプロレス技をくらわせてきた。

中身はもう男と言ってもいい。

だから見た目に気を許してはいけない。

全員が着席を終え甲斐谷先生が挨拶をする。

「え~今日から3年間このクラスの担任となる甲斐 谷 霧子だよろしく」

3年間…はぁ。もうすでに、奴隷のように扱われるビジョンが見えてきてしまう。

甲斐谷先生は、軽く自己紹介が終えると、今後の説明に入る。

「入学式がこのあとあるのだが、まだ時間があるんでな、全員に今から自己紹介をしてもらう。自分の名前と住んでいる寮あとはそうだな…この学校での抱負みたいなものでも述べてくれ」

そう言われ窓側の一番前から自己紹介が始まる。

正直、抱負なんて無かったので困ってしまう。

そうこうしているうちに順番が回ってきた。

席を立つ

「え~と近衛将太です。住んでいる寮は楽々寮です。」

そう言った途端にざわめきが起こる。

「えっ楽々寮ってあの負の巣窟って言われてる」

「なんかヤバい人たちが居るって噂だよ~」

そんな事をコソコソと話す声が聞こえる。

まぁ…想定してなかった訳ではなかったが、思ったよりもざわめきが大きいな。

俺は次の言葉を言えないでいた。

すると、甲斐谷先生が皆に声を掛ける

「はーい静かにー。

確かにあそこに住んでいるのはヤバめが多いがそれだけで人が決まる訳じゃないだろー」

フォローになっているかなっていないのかわからないな…て言うか、あなたもそこに住んでる住人だからね!

そして続けろという言葉で俺は自己紹介を続ける

「え~とこの学校では音楽に真摯な姿勢で向き合い

良い成績を残して卒業したいと思います。以上です。」

寮のせいで悪いイメージがついたのを少しでも払拭するため、くそ真面目ことを言って話を終わらせる。

すると、

ププ

と先生が小さく吹いた。

多少性格のひねくれた俺がそんな真面目なことを言ったのが面白かったのかはわからんが、生徒の真面目な言葉を笑うとは、独身め。

俺は少しため息を吐いて、隣の川之内の言葉に耳を傾ける

「あの…えっと…川之内美鈴です。寮は来芽寮です。」

隣の俺がやっと聞き取れるくらいの声で話する川之内。

どうやらこの子は、人と話すのがあまり得意じゃ無いらしい。

全員の前で話すのは、ハードルが高そうだ。

すると、

「川之内もう少しだけ声を張ろうか」

と甲斐谷先生が言葉をかける。

「わ、わかりました。すみません」

川之内は少しあたふたした様子で謝罪し、

また最初から自己紹介を始める

「川之内美鈴です。寮は来芽寮です。」

先ほどよりもなんとか全員が聞き取れる程の声になり少しほっとする

「この学校での抱負は…もっと技術を上達させたいです」

自己紹介を終えて、まばらな拍手と共に席に座る。

彼女の顔は赤くなっていた

ふと目があったのでgoodと手でやると彼女は嬉しそうに頷いた。


自己紹介は進み先程注目を集めていた桐生に回る

「桐生涼介です。寮は才明寮です。この学校では、色んな人たちと音楽の技術や知識を共有し素晴らしい学校生活にしたいと思っています。よろしくお願いします。」

なんとも優等生な言葉に少し気持ち悪さを感じる。

周りからは大きな拍手が起こり彼は嬉しそうに席につく

そんな光景を見ながら再び思う

あいつとは仲良くはなれそうにはないな…と


入学式を終え、教室に戻り学校のことについてやこれからの授業の説明などを終えて今日は下校となった。

色んな所を見て回りたかったが用の無い場合は速やかに下校するようにと言われてしまったので、今日は帰ることにする。

帰り支度を済ませて教室を出ようとすると、突然後ろから声を掛けられた。

「近衛くん」

声の方を見るとそこには、桐生涼介が笑顔を向けて立っていた。

彼が声をかけたことにより一瞬にして川之内さんのみならずクラスメイト全員の視線が集まる。

正直、桐生とは話をしたくはなかったが、声を掛けられた以上は応じるしかない。

「俺に何か用?」

「少し話したいんだ。君は世代のなかでもトップの音楽センスを持っているから話を聞きたくて。いいかな?」

何を言ってるんだこいつは

天然なのかそれとも分かっていてそんな事を言うのかはわからないが、

それを聞いた途端に俺はふと、過去の事も同時に思い出ししまいとてつもない気持ち悪さに襲われた。

一刻も早くここから離れたい

その気持ちだけが俺を支配する

「ごめん。今日用があるから」

それだけで言い残し彼が言葉を返す前に教室を出た。

足早にトイレに駆け込み個室に閉じ籠る

そして、

「オェェェェ…はぁはぁはぁっ」

トイレの中全てに響く声で嘔吐いてしまう

だが抑えようと思っても抑えられない

なんなんだよ

ふざけんな

なんでそんな事を言うんだ

そんな言葉が頭のなかに浮かんだ

憎もうが恨もうがどうしようもないことはわかっていた

だがあんな経験を何度も味わえば嫌でもそういう感情が生まれてしまう。

結局収まるまで俺の嘔吐く声は響いた





嘔吐きが収まってからは少し時間を置き完全に心が落ち着くのを待った。

トイレを出ると、

何やらペットボトルを胸の前で握りしめ何やら挙動不審な動きをする川之内を発見する。

俺と目が合うと小走りにこちらに近づいてきた。

どうやら俺に用あったらしい。

さっきのを聞かれしまったか?

あれだけ大きな声なら無理もないが…

「あの…さっき…トイレに入るのが見えて…それでその…大丈夫ですか?」

彼女は心配そうに俺にそう言った

やっぱりか…と思うと同時に恥ずかしい気持ちになってしまう

「あーえっと…聞かれちゃってたか悪いな不快にさせちゃって」

出来るだけ元気にそして申し訳なさそうに謝罪する。

「いえ…不快なんてことはないですけど

まだ顔色が少し良くない気がします

あの…よかったらこれ」

そういうと握りしめていたペットボトルを俺に差し出して来た

どうやら俺のためにすぐ近くの自販機で買ってきたらしい。ペットボトルに水滴がついて冷たそうだ。

「あっ…えっ…いや別に俺は」

少し戸惑った俺は後ずさる

彼女は俺が断るのかと思ったのかペットボトルを握りしめていた手を一瞬引っ込めるがまた直ぐに差し出して来た。

「でも…具合の悪いときは水分補給するのが一番だと思うので…これ飲んでください」

「お…おう」

俺は反射的に水を受け取る

はぁ…重ね重ね悪いことしたな

「悪いな…じゃあいただくよ」

そしてふたを開け一口飲む

買ったばかりで冷たい水が俺の全身を中から冷却していく

「ありがとう。とても落ち着いた」

素直に感謝を述べると彼女は

「はい。よかったです。」

と今日一番の明るい表情を見せて喜んでいた




2

帰り道が途中まで一緒のため二人で並んで歩く

彼女は先程とはうって変わり黙りこみ何かを言いいたそうにモジモジしている

俺はなんとか話題と思い共通の音楽の話をした。

「えっと…川之内さんはなんの楽器をやってるの?」

そう聞くと彼女は視線をこちらに向け

「バイオリンです」

と小さく答えた

すると、沈黙が破られたのがホッとしたのか彼女からさっきから聞きたかったであろう質問が飛んで来た。

「あの…なんでさっきはあんな風になったんですか?」

やはりか…

それは、俺にとってはとても聞いて欲しくはない質問だった。

「あーやっぱりあれを聞けば気になっちゃうよね」

俺がそう言ったのに対し彼女はコクっと小さく頷く。

「その前にまずは川之内さんは俺の事をどこまで知っているのか教えてほしい」

ある程度、知ってもらえてるならこっちも話しやすい。

そう訪ねると彼女は少し俯きがちに前を向き俺のことについて話始める

「近衛 将太くん

小学生の頃からピアノの才能は群を抜き、あらゆるコンクールで優勝を重ね周囲からは『神童』と呼ばれた。

しかし中学一年の全日本学生ピアノコンクールの時に桐生涼介という更にその才能を上回る天才が現れ優勝を逃すようになった。その後も彼の出るコンクールを狙い出場し続けるも毎回結果は彼に及ばなかった。すると周囲からはさまざま呼ばれかたをするようになった。

「桐生涼介の引き立て役」「天才の二番手」

「悲運の神童」「影の天才」などなど

そして桐生涼介がテレビや雑誌で取り上げられ始めるなか

近衛将太は中学3年の春を期にコンクールに出場しなくなった」

彼女は一つ息を吐いて

「これが私の知っていることです」

と俺に視線を戻す。

「そこまで知っているならさっきのあれ

少しは理解が出来たりはしないか?」

俺はまだここではあえてに言わず彼女の考えを引き出してみることにした。

すると彼女は視線を泳がせて、

「彼の言葉が嫌みに聞こえてしまったのですよね」

実に的を射た答えだ。

「そうだよ。こう言ったら最低かもだけど、すごく気持ち悪く感じた。何度も俺の上に立った彼の放った言葉が凄く無神経な物に感じてしまったんだ」

包み隠さずありのままを言うと彼女は理解したようにコクっと頷いた。

そして途中の分かれ道に差し掛かる。

話を切り上げるには丁度いいだろうと別れの挨拶を切り出そうとした

その時

彼女は俺の目を真っ直ぐ見つめてきて

「あの…もうひとつ…聞いてもいいですか?」

「な…何かな?」

そう聞くと彼女は一呼吸置いて


「今でもちゃんと…音楽に向き合っていますか?」


そう問いかけてきた。

正直なところ、この質問は一番されたくなかった。

俺は中学3年の春のコンクールを最後に人前ではピアノを引かなくなった

いやあえて引くのをやめてのだ。

辛いのを隠すために

もちろん完全に音楽との関わりをなくした訳ではないが、それでもあのとき以来音楽に向き合う時間は減った。

その事を伝えれば失望させてしまうのではないかと少し心配したが彼女の真剣さに負けて全てを言うことにする。

「正直に言うと最後に出たコンクール以来音楽に関わる時間は減ったよ。一時期は全く関わらない時もあった」

そう素直に告げると彼女は視線を外して俯き

「そうですか」と彼女悲しげな様子で言った。

しかし、俺は「けど」と彼女に向けて言葉を続ける

「それでも、この学校を選んだ。

それはまだ諦めきれなかったからだよ」

そういうと彼女の悲しげな顔は少し複雑な感じの微笑みに変わった。














どうも~虹太です。

いや~初めて物語を書きましたが、いかがだったでしょうか笑

何でもいいので、反応くださーい。


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