婚約破棄に余命6ヶ月をそえて…………
1000文字しかないので、軽く読んで頂けると嬉しいです。
(*´д`*)
「突然すまない……どうしても君に謝らないといけないことがあって…………」
幸せの絶頂は脆くも崩れ、私は絶望の谷底へと突き落とされる。
「君との婚約は……無かったことに……させてくれないか……?」
その時の私はどんな顔だっただろうか?
少なくとも笑顔では無いことは確かだ…………
「…………やっぱりエレナが……」
「……ごめん」
「いいのよ……私みたいな余命幾何も無い女に付き合ってくれただけで……幸せだったわ」
「―――え?」
「さよなら……」
「ま、待ってくれないか!? 余命幾何も無いってどう言う事だい!?」
──ガシッ!
捕まれた手首に彼の熱い熱を感じ、私は涙を堪えながら訴えた。
「あと半年の命なの……どの医者も匙を投げたわ。王宮の一級魔道士でも無理だったわ……」
「そ、そんな……!!」
「貴方はエレナと幸せになって……」
「君が死ぬのを分かってて見捨てるなんて出来ないよ!」
「でも……エレナと寄り添うつもりだったんでしょ……?」
「そ、それは……ハーシーンが君の事が好きだから……」
「彼が私を愛していても、私は彼を愛してはいないわ。私が好きなのは…………貴方だけよ」
「なら俺はどうすればいい!! エレナのお父さんは王宮の権力者だ! 今まで断り続けてきたが家族を盾に取られた俺はついに断ることが……出来なかった!!」
「……半年。半年だけ、私と一緒に―――」
――半年後――
「おはよう」
「お……はよ……ぅ」
ベッドで震えた手を掲げ細く弱り切った指を私に託す最愛の人。余命半年と言われた私は、仮初めとは言え彼の寵愛を受けすっかり病は消え失せていた……ただ、代わりに彼が謎の奇病に罹りベッドから動けなくなってしまった。
「……エレナのお父さんから手紙が来ているわ。代わりに読むわね」
「……う……あぁ……」
「エレナとの婚約は白紙になったそうよ。家族も無事だって……」
「あ、あは……ぁ…………」
「きっと貴方が私の病の身代わりになってくれたのね……だから今度は私が貴方の元気を取り戻すわ!」
「あ、あり……が……と……ぅ」
「さ、今日も薬湯を飲んで。後で車椅子でお散歩に行きましょう♪ 例え見えなくても空気が美味しいからきっと楽しいわよ?」
「あ……あぁ…………」
(嗚呼……愛した男の死ぬか生きるかのか弱い手綱が私の手に……この幸せは何と表現すれば良いのでしょうか…………!?)
既に視力を失い前後の感覚すら危うい男が飲んだ薬湯は……とても毒々しい色彩を放っていた…………
読んで頂きましてありがとうございました(*'ω'*)