表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

彼女の話

間章


 『しあわせ』と呼ばれる砂神が現れるという砂の国があった。

乾燥した空気と干からびた大地。そこに住まう人々は『しあわせ』を求めていた。

それが一体何なのかも知らずに探していた。




結章


序ノ説 終わりの始まり


 しとしと降る霧雨のようにあなたの言葉が心に溜まっていく。

 しとしと、しとしと、と―。

 音もなく、静かに、ただ、溜まっていく。




屍の説 彼女(かのじょ)見解(けんかい) (かれ)死相(しそう)


 あの頃は『しあわせ』なんて知らなかった。

あなたにあうまでは…

だから、あまりにも唐突なあなたの答えに黙り込んでしまった。


 気づけば、『しあわせ』と呼ばれる砂神を包み込み真実(しんじつ)の心を受け取っていた。

あなたは満足そうに笑みを浮かべていたわね。

あぁ、あなたの言っていた答えがわかった気がするわ。


「…『しあわせ』って“君”のことだよ。」


 だから、『幸せ』と呼ばれる砂神を包み込み虚偽(きょぎ)のない心を受け取っていた。

もうそこにはいない骨だけのあなたを見て思ったわ。

私は『死遭わせ』だ、と。


 「…『しあわせ』って“君”のことだよ。」


 あなたにあって初めて知った。

『しあわせ』を。

『死遭わせ』を知らなかった砂神の正体、『幸せ』と呼ばれるあなたを。




末ノ説 終わりの終わり


 春雷とともに雨の足音が聞こえた。


 突風に煽られてもどこ吹く風なのに、何故か虚しさが爪痕を遺していく。

 『もうあなたとあうことはできない』

治らない傷のように、それはいつまでも胸を占め続けるんだ。いつまででも…


 雷鳴とともに豪雨になった。何も見えない。あなたは消えた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ