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働くママ日記  作者: あじさい
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幻の家族

人の気持ちは変わるんだ。

変わらないって思ったのは私の甘い考えだったんだ。

そういうと、友人が教えてくれた。


人によるよ。

相手への気持ちが変わらない人はいます。

親子でも友人でも恋人でもさ、

変わらない気持ちで心から思いやる気持ちを持つ人はいますよ。



それはもう、人によるんだよ。


良識ある人間ならこんなことにはならないよ。


あの人は良識がない人だったから、

自分の快楽の為なら、自分の家族をも危ないことにあわせても何とも思わない。

いや、私たちがおかしいと思う事さえも彼にはおかしいとも思えないんだよ。

きっとそれは彼の育ってきた環境がそうさせたと思うよ。

彼の親もおかしな親って事も、概ねあたっているような気がする。


おかしな親からおかしな子供が産まれて育つんだよ。

親になるって大変な事だよ。



そんなおかしな人は結婚してはいけなかったし、

ましてや子供をつくる事も危険な行為だったんだ。


人を見る目がなかった君は、選んではいけない相手を選らんだんだ。

選んではいけない相手を選んだ君にも原因がある。


けれども夫婦の1人がおかしいだけで、

もう1人の君がいるのが救いだよ。


夫かおかしくて逃げたとしても、

子供たちの生きる環境を守る事から逃げてはいけないからね。

逃げない君がいる事が唯一の救いだよ。



君がまだ投げやりにならないで、

親子三人で生きる方法をさがして、

良識ある人間に育てあげる事が、

これからの君の役割だよ。





もとから良識ある人間ではなかったんだよ。

そう思ってこれからの歩み方を考えないと、

前には進めないような気がしないか。



今の失敗はもう二度と繰り返さないように。

そう思って、おかしな人間からは自分を守って、

子供たちも守って生きていこうよ。


そういってくれた友人の言葉を思い出しながらも、

これからの事を考えていた。


何とか前に進まないといけない。

まだ自分がいる。

2人のうちの1人がいる。


頑張れ自分とおもうけれど、

こんな事になったのはどうしてだろう。

友人に何度もそう言われたけれども、

この事が頭から離れて動かなかった。


不幸な現実は私の頭の中を大きく占領して、

全ての考えを悪に染める。



今の自分が誰よりも惨めで情けなくて、

そう思うと泣きなくなった。


胸が熱くなって目の奥からもう涙が出そうになった。

けれどもそんな時間は今はない。



やらないといけない。

私がやらなくて誰がするんだよ。

誰もいないよ。


守るんだ子供ををさ、いや自分もだ。


自分の事は自分でするんだ。

家族を守れるのは自分だろう。


全部、そう全部終われば家にかえって泣けばいい。

それまでは今までで一番強い女性になろう。


そんな女性を演じるんだよ。



今は、そうだ。

この離婚届を役所に出すんだ。



そう自分に言い聞かせて、

私は役所に向かうことにした。





市役所にいくと、すぐに職員の人は対応してくれた。

待った時間は30分だった。

確かそれくらいだった。

長いのか遅いのか、

役所に置いてある時計の秒針までも聞こえるような気分だった。


受理してもうらうまでに、

なんだか、色んな事を聞かれていたような気がするが、

もう頭には入ってなかった。



答えているのは自分なのに、

自分の中の誰かが答えているような、そんな感じだった。


離婚をして安全な所に子供たちと非難しなければいけない。

その事が頭の中を、ぐるぐる考えがまわっていた。



離婚届の受理が終わると色んな事を説明してくれた。

一人親になると、

いいえ母子家庭になると色んな制度があるって事を教えてもらった。

それはなんとパンフレットになっていて、

パンフレットを見ながら色んな事を説明してもらったのだけれど、


家でもよく読んで、わからない事があればまた相談しに来てくださいって言ってもらえたので、

とにかくそこはそれで、席を立った。


またここには相談に来ないといけない。

憂鬱な気持ちになったけれども、

一つずつこなすしかないな。



帰り道もずっとふわふわしておかしかった。

なんだかふわふわして地面に足がついてない感じだった。



「これで離婚が成立か・・・」

そうつぶやくとなんだか気分がとても悪くなった。


自宅につくと私はすぐに台所に行ってお茶を飲んだ。

ゴクゴクと何倍も飲んだ。

とっても乾いていた喉が潤うと少しおちつく事が出来た。


次にする事は住む家を探すことだった。

というかもう電話していた。


時々、自分の行動力には驚かされる。

離婚届も大切だけれども、

これが本当のメインになるからだ。


家の近くにある不動産に電話したところ、

今から部屋を借りる相談ができるというので、

私はすぐにあるいて向かった。



いいのか悪いのかわからないが、

この不動産は知り合いという事もあって部屋はすぐに探してくれた。


母子家庭でも暮らせそうな部屋、、、

念の為に3軒を紹介してもらうことにして、

すぐに見に行くことにした。


どの部屋も無難で価格的にも同じだった。

だから、どの部屋になってもいいなと思った。

そう思うともう心は決まった。



部屋を見るのにかかった時間は30分、

賃貸契約にかかる書類の説明を聞いて30分ほど、

全部で1時間だったが、恐ろしく疲れていた。



話さなければならない事をはなして、

「今度は子供と一緒に週末にみに来ます」

と言って不動産をあとにした。



苦しい、苦しい、

私はまた家路につくとお茶をとにかく飲んだ。

何杯も、何杯もだ。

気が付くとピッチャーに入っていたお茶がすべてなくなっていた。


どれくらい飲むんだ・・・


今日は自分に驚く事も沢山あったけど、

朝からやっと落ち着いて家にかえって休める。


子供たちがかえってくるまで、

未だ時間がある。


少し横になろう。

色々かんがえると苦しくなるので、

心の中でこう唱えた。


「今は何も考えない、今は何も考えないで自分」

そう何度も何度も唱えて、

私は子供たちが帰宅するまで横になる事にした。

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