理性がない人間
親がいるから、先生がいるから、誰かに理性を保つように強要されていたから自分の欲求をまだ我慢できている。それを押さえつける人間がいなくなると、どこまでも自分の欲求のままに生活することになる。
「酒もたばこもしない君にはわからないさ。」
挑戦的な態度で夫は私にいった。
いつも夫は私に挑戦的な態度で私を見下したようにいう。
きっと彼はこう思っている。
「お前は俺が偉い事を認めてもっと尊敬しろ、俺は偉いんだ。」
彼が話してる間は、話の内容を聞くと同時に彼の言葉の意味も考えるようになっていた。
偉い、彼は偉い。
分かっています。
分かっていますから、怒らないでください。
何度もそう自分に言い聞かす。
本当にわからなかったの。
私には彼のその習慣がわからなかった。
そう、わからないこと、私には理解できない事を強要されても、
理解できないし同意できないのに、
この生活を継続するためにはどうしても彼を理解するように、
努めなければいけなかった。
煙草を進められた事はあったけど、
私には合わないので吸うこともなかった。
お酒は時々は、仕事のお付き合いでなら飲むけれども、
自宅で飲むような習慣はまったくなかった。
飲もうと思えば飲めるけれども、
それを飲んだところで、
毎日しないといけない、色々な家事をする事ができなくなるし、
なにより、たばこと酒は私にはとっても高価なものに思えてならなかったから、
余計に、そのお金があるなら、
もっと他の物につかおうって思ってしまうの。
でも煙草と酒に関しては夫はそうではなかった。
煙草はいつも切らしては嫌だし、
仕事が終われば酒を飲みたいのが男だって。
口答えをすると怒りの鉄拳がきそうなので黙って聞いていたが、
どれだけ大切な事かを説明されたところで、
「それはお金がある人の主張って」心の中でおもっちゃう自分がいた。
家計がピンチの時にはどっちも買わないな。
素直にそう思ってしまう。
依存している人間は必要な時にないと大変なことになる。
そう依存だよ。
ギャンブルだってそうおもちゃう。
なんだかんだいった所で依存しているから、
自分の欲求をみたしたいが為に、している行為である。
「酒もたばこもしない君にはわからないさ。」
分かるわけがないさ。
君は違う国の人間で私とはとうてい住む国が違うから。
この悪魔のような呪いを強要される日々はいつまで続くのただろう。
理解できない事をいつまでも話す彼の話をだまって聞く事。
それがこの家庭の平和であることは間違いないらしい。




