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働くママ日記  作者: あじさい
30/42

食事がおいしいこの喫茶店

次の日は朝から病院にいくことにした。

少しでもはやく治さないと、

明日からの生活がおかしくなる。


昨日の痛みが少し残っていたが、

我慢できる痛さなので

自分で車を運転して病院にいくことにした。


とはいえ朝になっても夫はかえってこなかったので、

1人で病院にいくしかないのだけれども。


こんな時に心のよりどころになれる人がいたら、

どんなに救われただろう。


でもいないものは仕方がない。

考えても仕方ないので、

とにかく行動だ。

朝の時間は決まっているのだから。


朝の支度をして子供を保育園につれていき、

会社に少し遅れる事を連絡して私は病院にいった。

昨日は夜間の救急の医師だったらしく、

今日の診察は違う人だったが、

第一声からびっくりした。


「膀胱炎、初めてなんだって!!いたかったろうううう」

会話が軽すぎる。

軽すぎて笑ってしまった。

「先生、通院で治したいと思っているのだけれども大丈夫ですか。」

そう聞くと先生は、

「いつも以上の水分をとって、よく食べて寝る事で回復に向かいますが、決められた時間にこの薬を飲めば大体はなおりますよ。」


「血液検査の結果もでましたが、少し疲れているようですので、体調管理は十分にしてください。」

そう医師から言われて病院からでるときはすでにお昼になっていた。


時間がたつのは早いな。

私の時間は毎日があっというまだ。


このまま会社にいこうかとも思ったが昼食をとってから私は行くことにした。

なんだかおいしい食事をとってから会社にいきたくなった。

ちがう。

少しさみしくなってしまった気持ちをおいしい食事で元気になってから仕事に戻る事にしたかった。


私の人生に潤いを。


とはいっても時間も限られているので病院の前の喫茶店で昼食をとる事にした。

1人で食事は久しぶりで、

お昼どきだったので店はすごく混んでいた。


店の前の列に並びながら私はすぐに今日のランチメニューを見ていた。

ランチメニューは安くて今日のおすすめ。

どこの店もそうなので好きなものがいいな。

なんて思ってみていたら、あたり。

『ハンバーグランチ』とかいてあった。

店の前に現物のディスプレイも置いてあった。

ハンバーグにポテトサラダ、味噌汁にごはん。

おいしそう。

と心の声がもれてしまって、

前の人に聞こえてしまった。


あわてて下を向いたが、

前の人には聞こえていたらしく、

「ほんとおいしそうですね。」

と返事が返ってきた。


なんだか恥ずかしいのかうれしいのか、

少しドキドキした。


こんなやりとりで、

なんだかさっきの病院での嫌な出来事が吹っ飛んでしまった。


少し行列になっていた順番も数分で自分のばんになった。

通された席に座ると私は直ぐにウエイトレスさんに注文を伝えた。


「日替わりランチをお願いします。」


ウエイトレスさんは少しびっくりしたが、

にっこりと笑ってオーダーを通してくれた。

そんなウエイトレスさんの笑顔にもまた私は癒された。


人生は悪い事ばかりではない。

一生懸命に生きていればいい事だってある。

なんだかまったくいい事がないと思っていた生活だったのに、

この店にはいるとそんなポジティブな気持ちがわきだした。


1人ではいる店も、

1人でとる食事も久しぶりだな。


病院にくる用事でもない限り、

私は1人で店に入る食事はとれないな。

だから今日はラッキーdayなんだ。


またまたそんな気持ちが出てきた。

この店にいるとなんだかポジティブな気持ちがどんどんわきだす。


もしやこの店は魔法の店なのか。


そんな事を思っているとランチが運ばれてきた。

頼んだランチはハンバーグランチ。

目の前に置かれた食事は食べる前からわかる。


臭いでおいしい。


ハンバーグも味噌汁もごはんも、臭いがたまらなくおいしい。

私はいただきますというと、

無我夢中で食べ始めた。

味噌汁で口を潤してハンバーグの真ん中にお箸をさすと、

肉汁がドバーっと出てきた。

もう、スプーンですくいたい気持ちを押し殺してすぐに一口たべた。


とろけるハンバーグとはこのことだ。

私はすぐに白いご飯を口にいれた。

このハンバーグは白ご飯がたまらなく欲しくなる。

そう思うともう箸はとまらない。


ハンバーグと白ご飯がなくなるまで進んでしまった。

やってしまった。

まんべんなく食べたいと思っていたが、

このハンバーグは強烈だった。

途中では止まらない。


けれどももうお腹がふくれてしまった私はポテトサラダが残っていたので、

これも一口でも食べようと思って口に含んだ。


衝撃である。

ポテトサラダとハンバーグの肉汁が合わさり、

最高のポテサラになっていた。

しかもポテトサラダの下にあったキャベツに迄も肉汁がしみ込んでいて、

副菜とは思えないポテサラになっていた。


これは、ご飯が必要だ。


私は自分のお腹の事情も無視をしてご飯を半分だけお替りすることにした。


ごはんと食べるポテサラはももう止まる事はできない。

一気に食べ終わると私は残っていた味噌汁でしめた。


おいしい。

これで食後にホットコーヒーがついて600円は価値がある。

何も考えないでただひたすら食べた。

おいしいご飯を食べて、

食後のコヒーを何も考えないで食べている。


これって幸せじゃね。


あんまりゆっくりもできないので店からでることにしたが、

たぶん店には30分もいなかった。


けれどもこの店には確かに楽しい時間があった。

腐りかけていた私の心が少しもとにもどった。


この店にまたこよう。

きっとまたこよう。

こんどは子供をつれて。


食事がおいしいこの喫茶店に。

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