子供の成長を待つ
一つ狂うと何かが狂う。
狂ったことを気づいて戻そうとしてもなかなか戻らない。
この修正ができない私がはがゆい。
遠い記憶を思い出している。
家庭が上手くいかなくなった原因はここから始まったような気がする。
私が働くようになって、
家庭のきめ細やかな対応ができなくなったから。
家族の中では一番えらくいたい夫は妻が働きに出ることで、
その地位を失った。
働きにでている人間が2人いる。
そう、その事実が彼のプライドを気づつけてしまった。
彼にも彼の言い分がある。
きっと言い分があるが、
そのどれもが現実では到底うけいれる事ができない言い分の為に、
怒りを覚えることになる。
子供は保育園になれていく日々、
泣き叫びながら登園していたことすら感じさせないほど、
保育園が楽しいようになる。
私も小さい子供を園に預ける事が不安に感じることもあったが、
子供たちの帰宅してからの楽しそうに話す園での生活を聞くと安心する。
その安心は信頼に代わる。
この園の先生ならば安心して預ける事ができる。
そう思うことができたなら、
私も仕事に打ち込むことができた。
仕事の難しい案件にぶつかった時でも、
踏ん張れる。
子供との生活の為に前に進める。
そんな強い気持ちは仕事にも表れて、
気が付いたら、仕事が楽しいとまで思う日々に代わっていた。
それでも仕事なのでいい日も悪い日もあるのは確かだった。
定刻になれば子供のお迎えに行かなければならないのだが、
いけない日も出てきた。
保育園に延長保育を申し出て働く事もしばしばあった。
それでも仕事を軌道に乗せて、
安定した生活を送る事が何よりも最優先にしたいことだった。
仕事を頑張れば頑張るほどに、
身体に疲れは現れる。
けれども働くママに家に帰っても休んでいる時間はなかった。
今日は夕食を作るのが嫌だな・・・
っと思ったところで誰も作ってくれる人はいない。
そんな疲れた時にふと出来あいのものを買ってきて楽して食べようとしてしまう。
洗濯をたたむのがおっくうだなと思えば、
取り込んでそのまま。
今日は洗い物が面倒だな・・・
と思えば明日の朝までおいておいたり。
帰宅してもやらばければならない事はたくさんあるのだけれども、
できるはずもなく、
家事はおろそかになる。
それでもたまった家事を休日にこなし、
平日の自宅での家事が減るように努めても、
なっとくしてくれない人物が我が家には一人いる。
夫である。
日々の家事がおろそかになるのは必然なのに、
そのことを受け入れる事をしない。
自分の気持ちのいい生活を脅かやす妻を許せない。
許せないのである。
夫は自分では家の事はできない。
出来ないから妻にさせる。
けれども妻が動かない。
そのどうしようもない気持ちが家の物に向かった。
「ごめんなさい。
今日は仕事で疲れてしまって、
まだ家の片づけができていないの。
夕食はできあい物をかってきたのだけれども食事はこれで食べてもらえるかな」
夫は静かに食卓に座り、
机の上を力任せにドンとたたいた。
安物の机が半分に折れるのではないかと思うほどにだ。
そうして夫は話し始めた。
「そんなに家の事ができないなら仕事をやめろ。俺の我慢も限界だ。家事と子育てができない女なんて聞いた事がない。」
こういわれて私は今まで我慢していたものが思わず口から出てしまった。
考える暇なんてなくて、
相手の気持ちを考える余裕なんてなくて、
そういってしまったんだ。
「私が仕事をやめて家計の事はあなたに全て任せていいですか。具体的にお金の心配です。」
夫はまた机をドンとたたいて言い出した。
「俺の稼ぎが少ないからお前が働きにでて、疲れて家事ができない分を俺に手伝えって言ってるのか。」
といったころには机をどんどん叩きすぎて子供たちが起きるほどに迄になっていました。
「あなた子供たちが起きるからそんなに机をたたかないで。」
とは言えだんだん怒りだした夫を止めることはできなくて、
「どうなんだ。」
と怒鳴れた時には
「はいそうです。」
と答えていました。
はいそうです。
その瞬間に食卓は転がって、
大きなドンっという音に驚いて、
子供たちが泣きながら私によってきました。
「ママどうしたの。なんで机がひっくりかえっているの。」
子供たちにしたら夜中の時間に大きな物音、
びっくりするのは当たり前。
そんな子供をたちを慰めていると
夫が部屋を出ていく音がしました。
あまりにもはらが立って部屋をでたんだなと。
とにかく今は子供たちを寝かさないと。
「大丈夫よ。何もないわ。驚かせてごめんなさい。お母さんも眠いから一緒に寝ましょうね。」
そういってまた子供たちを寝かせてからリビングに戻りました。
転がっている机といすをもとに戻して、
割れた茶碗と転がっている総菜を集めて、
静かに掃除をしました。
夫は出ていったきり帰ってきません。
探しにいこうとも思ったのですが、
子供を残して夜の街に出る事はできず、
ただその日は帰らない夫を待つだけでした。
それでも朝になればその日の生活が始まります。
始まるので出かけなければいけません。
そう日々の生活の為に。
夫ときちんと話さなくては。
これからの生活を話さなくては。
私にできることも限界がある。
夫ならきっとわかってくれる。
そう今日は今日を乗り切り、
私は毎日の生活を守ろう。
強い決心とともに今日の夜の話し合いに望むことにしました。




