ep.098 必然的に潰れる
「つまり、徳さんは、今の“河内稲美会”の会長は、関西の重鎮達や長老連中に認めてもらってないって言ってる訳?この報告書読むと・・・」
徳野は、ソファーに座る皐月の目の前で正座している。
「認める認めないじゃ無くて、事実ですがな」
徳野は、スーツのポケットから白いハンカチを取り出すと額の汗を拭き、
「特に長老連はかなりシビアに見ている様で、今の会長の出方次第によっては、上位組織の“天道白虎会”からの除外も噂されてます。もともと“天道白虎会”と“河内稲美会”は、先々代からの付き合いなんで、中々簡単にはするとは思えまへんがね・・・」
皐月は、テーブルの上に置かれてある缶のウーロン茶を一口飲み、
「もし、除外となったら、どうなるの?“河内稲美会”は?」
徳野は、更にハンカチで汗を抑えつつ、
「そうですね、少なくとも“天道白虎会”系の組とは、一切付き合いが出来なくなりますので、関西圏においては活動は難しいでしょうね・・・。本来、“河内稲美会”は枚片市から河内長原市の一帯の祭事に関わる的屋ですが、除外となると、フリーの露店販売業者が“天道白虎会”の事を気にして、出入りしなくなりますので・・・」
皐月は眉をひそめ、
「となると?」
「はい、露店が集まらなければ、興行主の寺社から依頼がいかなくなりますので、組自体の弱体化は免れないでしょうね」
皐月はため息を吐き、
「必然的に潰れていく訳だ・・・」
「実際、今の会長になってから、元々在ったシェアの半分にまで落ちてきてるハズですわ。先代の頃は現場は会長が、祭事のスケジュール管理は姐さんがやっていたみたいですから・・・」
皐月は目の前に徳野がいるにも関わらず、なまめかしく脚を組み替え、
「なるほどね・・・、今の会長に奥さんは?」
「いまへんなぁ・・・。そもそも、他の組からの縁談は来まへんから、そっち関係では難しいんちゃいますか?」
「そうなの?資料を読む限りにおいては、歴史が有りそうだから、縁談は来そうだけど・・・」
「それがですね、今の組長、麻薬で捕まった事あるんですわ。組を継ぐ前に・・・」




