ep.091 引き出しの中身は・・・
睦月が目にしたのは、数百枚にも昇る裕一といろんな女性の性交の写真であった。
何れの女性も二十歳前に見える。
《ゲスな事を・・・》
写真の中に覚えのある顔が見れた。
《むっ、これは稲美さん・・・?アイツ、実の妹とも・・・、関係を持つだけじゃなく、写真まで撮っていたのか?》
その下の引き出し三段とも、鍵が掛かっている。
睦月は容易に鍵を開け、上から二段目の中身を見た。
《予想だと、さっきの写真のムービーなんだけどな・・・。おっ・・・、コレは・・・》
睦月が目にしたのは、ノートPCにデジタル・ビデオ、そして、デジタル・カメラである。
《なるほど・・・》
睦月が三つの電源を入れ、中身を確認した。
ビデオとカメラにはデータは残っていない。
《全部、ノートの中か・・・。ふむ・・・》
ノートPCにはアクセス・パスワードも設定されてなかった。
《予想通り、あまり、たいした管理もしていないな・・・。しかし、壁紙まで、女の裸とはね・・・。で、データは?コレか、凄まじい量だな・・・》
睦月は三段目に手を掛け、引き出しの軽さに少し驚く。
《さすがに、ここはエロでは無いと思いたいな・・・。!!!》
睦月が目にしたのは、一枚の家族写真だった。
角刈りの中年の男と産着を着た赤子を抱いている若い女、そして、中年の男に肩に手を置かれている坊ちゃん刈りの男の子が写っている。
《これはかなり意外だな・・・》
睦月は、最後の引き出しを開ける、目にしたのは古ぼけた熊のヌイグルミだった。
《おや、このヌイグルミは?》
睦月は、上の段にあった写真を見直す。
男の子が持っていたヌイグルミだった。
《いわく有り気だな・・・》
睦月は、ヌイグルミを手に取り、しげしげ眺める。
ヌイグルミは手作りで、愛情を込めて造られた事は明白だった。
しかも、何度も何度も繕って直されている。
縫い直し方が違う処から想像するに、何人かの手によって。
《思いが伝わってくる・・・。しかし、そこまでする必要が、このヌイグルミに有るのか?》
特に何度も取り繕らわれているう場所に、睦月は違和感を感じた。
《秘密が有りそうだな・・・》




