ep.084 ハルナが話したかった事
ハルナは、ワハハと笑い、
「かんにんな。しかし、瑠奈は、ホンマに正樹が大好きやな」
「ぅん。正樹は優しぃもん」
瑠奈は立ち上がると、
「言ぃたぃ事が有るから、寝てるのわざわざ起きて、ぉ風呂まで来たんでしょ?なぁに?」
「たまに瑠奈は鋭いな。アンタ、ウチに雪江ちゃんやったっけ?昨日、仲良くなったの?」
瑠奈は、ぅんと頷く。
「の事、話してくれたやんか?後、政さんの事も。出勤前の着替え手伝ってくれながら・・・」
「そだよ。今日も会ぅんだ。だから、ぉにぎり作って持って行くの」
「雪江ちゃんの実家の組の名前、覚えてる?」
瑠奈は、首を傾げ考えると、
「確か・・・、“河内稲美会”だったっけ?自信無いけど・・・」
「そやんな!“河内稲美会”!」
瑠奈は、もう一度首を傾げ、
「でも、ハルナ、どぅして?」
「昨日、店に来てん。自分で会長言うてたわ。腰ぎんちゃくの中年の男と一緒に・・・。店にはヤー公も来るけど、あんな威厳無い組長っちゅーか会長、初めて見たな」
瑠奈は興味を持った様で、
「それって、雪江ちゃんのぉ兄さんかなぁ?どんな感じの人?」
「そやな、目つきが悪うて、結構、額がヤバかったな」
瑠奈は、不思議そうに問う。
「額がヤバぃ?って」
「あー、ハゲそうって事や。2~3年で、てっぺんまでいくんちゃう?」
「ぁー、そぅぃぅ事・・・」
ハルナは、大きく頷き、
「それから、多分、あのお兄さんってヒト、薬ってると思うわ」
「ぇっ?それって麻薬?」
「そや、かなり慢性やと思う」
「でもどぅして?ハルナは分かったの?」
「前に別のヤーさんが来た時に、教えてもろたんや。見分ける方法。それから、腰ぎんちゃくのオッサン、なんか組長の事見下げてる気がしたわ」
「どぅして?」
ハルナは優しく説明する。
「それはな、瑠奈。呼び方や。あの世界って、面子が大事やねん。せやから、なんぼ年下でも、会長やったら、“おやじ”もしくは、“会長”って呼ぶのが筋やねん。それを、腰ぎんちゃくは“ボン”って、ずっと呼んでたんや」
「?、わかんなぃよ、ハルナ?」




