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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
二日目
80/243

ep.080 やっと笑顔になられましたね

「うわぁ、美味しそう」

運ばれてきた海老天ぶっかけチク天トッピングを見て、橘が思わず声をあげる。

睦月はそんな橘に温かく微笑むと、割り箸を割り、

「実際、美味(うま)いですよ。いただきます」

と手を合わせ、うどんを豪快に食べ始める。

まさに御見事と言う表現がぴったりくる程、睦月の食べ方は男前だった。

睦月の食べっぷりに見とれていた橘も、我に帰えると海老天を摘み上げ一口頬張る。

衣のサクサク感と海老のプリプリ感が堪らなかった。

思わず目を見開き、ん~と唸る。

睦月は食べている箸を休め、

「如何です?橘先生?」

橘は、手打ちうどんの喉越しを確かめ、満面の笑みで、

「めちゃめちゃ美味しいですね!でも、よくご存知ですね。美味しいお店」

睦月は照れ、

「いやぁ、半年前かなぁ、たまたま讃岐うどんと書いてあるのぼりを見て、入りましてね。気になって、入ったら」

「美味しかったんですね?」

「はい、最高にね。元々、大学のゼミの旅行で、四国のお遍路を廻った時に、香川で食べたうどんが美味しくって。それからですね、うどん好きになったんですよ・・・」

橘は睦月の意外な答えに、笑う。

「まぁ、そんな前から」

睦月は、はいと大きく頷き、

「橘先生、やっと笑顔になられましたね。少し安心しました」

橘はその時、ケアされているのが自身である事に気付いた。

赤面すると、

「すっ、すいません。気を使って頂いて・・・」

「僕はね、今の学園、聖クリが大好きなんですよ。自由で在りながら、それぞれの個性を認め、更に延ばす教育。それでいて、協調を忘れない。もっとも、その負担は我々、教師に跳ね返ってくるのですが・・・」

「ええ、でも教えがいのある生徒達ばかりなので、苦にはなりませんわ」

「ですね」

睦月は一呼吸置き、

「それでですね、橘先生。今回、訪問する稲美雪江さんですが、少し調べさせて頂いたんですが・・・」

「はい」

「高校生で背負うには、余りにも過酷で重たいですね。彼女の人生は・・・」

橘は、箸を置くと、口元を引き締め、睦月の話に耳を傾けた。

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