ep.077 フラメンコ?フラダンス?
「いいヨ」
JJの返答は、予想以上にあっけ無かった。
「但し・・・」
「但し、何ですか・・・?」
「ボクの弟子になった以上、負けは認めないサ。あらゆる事デ。それから、いいつけハ、必ず守る事」
桜子は、ゴクリと息を飲み。
「常勝・・・、ですね」
「出来なきゃ、弟子は無理ダネ」
JJはシニカルに笑う。
「やります!師匠」
「ん!グーダネ!デモ、ボクの事は、今までで理事長で呼んで欲しいヨ。理解った?桜子ちゃん?」
「はい、師匠!」
「あっ!」
「じゃなくって、理事長ですね」
JJはククっと笑うと、
「次、間違えると破門ダヨ」
「はい、しっ・・・、理事長。そう言えば、暴走族は?」
桜子は不思議そうに尋ねると、JJはニヤリと笑い、
「もうすぐ病院に搬送される事だと思うヨ。あっ、教えてあげるネ、彼らは、“堺狂夜蝶”。何でも、“河内稲美会”の若頭・山崎の後輩らしいサ」
桜子は、頭に留めた。
《“堺狂夜蝶”と“河内稲美会・若頭・山崎”ね・・・》
桜子は元気を取り戻した様で、
「ありがとうございました、理事長。アタシ、行きます」
JJは、ちょっと待つサと言い、携帯のメモリからある番号を、手帳に走り書きする。
ビリっと破ると、桜子に渡した。
「コレは?」
「ん?その二人とコンタクト取って、フラメンコとフラダンスを一ヶ月でマスターするネ」
「いっ、一ヶ月でですか?」
「まさか、出来ないノ?出来るヨネ?」
桜子は、拒否や否定は出来なかった。
「やっ、やります。やりとげてみます」
JJは悪戯に笑い、
「じゃあ、一ヶ月後、全校生徒の前で、発表会しようネ、桜子ちゃん」
「うっ・・・、全校生徒の前でですか」
「うん。楽しみサ~」
桜子は、深くため息を付き、
《やるしかないよ、桜子》
と自身に言い聞かせた。
JJは思い出した様に、
「何だったら、桜子ちゃん。君の仲間、“はねくみ”全員デ、習ってもいんじゃナイかナァ。フラメンコとフラダンス。必ず、君達ノ為ニなるヨ」
「了解りました。皆んなに言ってみます」
JJは笑って、頷く。
桜子は、もう一度頭を下げるとオロチから出て愛機・サクラ1300に向かう。
《あー、大変だわ。フラメンコにフラダンスか・・・》
JJは、桜子がバイクに跨がり走り出したのを確認すると、携帯をイジり、
「ハロー、タケ。ボクだよ。さっきはご苦労サマ、助かったサ。今、桜子ちゃんが動きだしたカラ、警護と隠蔽工作、ヨロシク」
携帯を切ると、オロチのステアリングを握り、
《サァ、ボクは学園に戻って、リュウノスケにご飯あげなくっちゃネ・・・》




