ep.074 優しいお説教
目を覚ました桜子に、JJはどうやって暴走族をツブしたか簡単に説明すると、ニヤリと笑い、
「桜子ちゃん、今からはお説教ネ」
桜子は身を起こし、身構える。
「ボクは、バカヤローとかは言わないヨ」
「え?」
桜子はキョトンとして、
「どうしてですか?理事長?ご迷惑をかけたのに・・・」
「そーだネ、それは桜子ちゃんが私利私欲で動いてないカラかナァ。危険な行為も、立場的にはしかたないと思うしネ」
てっきりカミナリが落ちると思っていた桜子は、かなり意外な様子で、
「でも、お説教って・・・」
「あぁ、お説教ダヨ。ボクがお説教するのは、闘い方ダヨ。駄目だよ、アンナ闘い方ジャ・・・」
「闘い方、ですか・・・?」
JJは頷き、
「そうダヨ。桜子ちゃん、キミの実力だと、今は五人迄ダネ。それ以上は逃げた方がいいナ。あのサクラ1300なら300キロオーバーが簡単に出るカラ、ちぎれるでショ?なぜ逃げなかったノ?」
JJの桜子を見る目は、優しい。
「アタシが逃げると、学園の他の生徒に迷惑がかかると思って・・・」
JJは深くため息を吐き、
「立派な正義感だネ。でもネ、桜子ちゃん。時には、もっと臆病者になる事も必要ナノ。たまたま、ボクが通り掛かったカラ、良かったものの・・・、誰も来なかったラ、完全に拉致されていたヨ」
桜子は悔しそうに、すみませんでしたと頭を下げた。
そんな桜子の頭を、JJはくしゃくしゃっと撫でてやり、
「反省したラ、それでいいヨ」
「でも、あんな場合は、どうしたらいいんですか?理事長」
JJはふむと考え、答える。
「ボクなら逃げるネ。もっとも、20人以下ならツブすケド」
「でも、どうやってですか?」
「簡単ダヨ、1対多数じゃなく、1対1の状況を作り出せばいいのサ」
「え?」
「理解らナイ?こんな無人とはいえ、ロータリーみたいに広い場所は、1対多数には不向きナノ。1対1になれる状況で戦闘るのサ。例えば、路地とかネ。だったラ、意識を前だけに持っていけるデショ?」
桜子は、目を見開き、
「あーっ、確かに。確かにそうです」




