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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
一日目
54/243

ep.054 睦月の部屋にて

烏丸睦月は、皐月の三歳年上の実兄である。

普段は聖クリストファー学園国際高等学校の社会科・日本史の教鞭を取っていた。

住まいは、聖クリを見下ろせるマンション“メゾン・聖ガ丘”10階の角部屋の3LDKに、愛犬のグレート・ピレニアンの雪丸と住んでいる。

皐月は、愛機を“メゾン・聖ガ丘”の駐輪場に停めると、ヘルメットをハンドルに掛け、玄関のオートロックの暗証番号を押し、中に入る。

エレベーターは1階で停まっていた。

滑り込む様に中に入り、いつものように10階のボタンを押す。

少し耳障りな上昇音を立て、エレベーターはすぐに10階に着いた。

皐月は、エレベーターを出て突き当たり一番奥の1008号室のドアを開ける。

刹那、巨大な雪丸が尻尾を振って、皐月に飛び掛かってきた。

「もう、雪丸ったら。よしよし」

皐月は、雪丸の頭と背中を撫でてやる。

「兄さんは?」

雪丸に尋ねると、ワンと鳴いてリビングに誘った。


「相変わらず玄関に鍵を掛けないのね、兄さん」

睦月は、照明を少し落としたリビングで一人掛けソファーに座っている。

睦月のファンの女教師なら卒倒しそうなカルバン・クラインのバイオレットの下着に、薄紫のバスローブを軽く羽織っただけであった。

ロックグラスを片手に、80年代の名盤“Prince & The Revolution”の“Purple Rain”を聞きながら、

「雪丸が居るからね。知らない奴が入って来ると、襲う様に躾てあるから」

とニヤリと笑った。

グラスをテーブルに置き、

「今回のターゲット、《河内稲美会》、なかなかややこしくなっているみたいだな・・・」

皐月は、睦月の隣の二人掛けソファーに座り、テーブルの上のレポートを取り上げた。

睦月が、自身が所属する《組織》のデータベースから打ち出したものである。

皐月は、さっと目を通した。

「相変わらず仕事が早いわね、兄さん。あっ、私も一杯もらうわ。寮だとアルコールが飲めないのが辛いのよね・・・」

睦月の答えを聞くまでもなく、皐月はロックグラスに氷とバーボンを入れ喉を潤した。

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