ep.052 悲しい出来事と出された指示
桜子が二階の201号室に戻ると、こころ以外のメンバーが藍がいれた紅茶を楽しんでいた。
アールグレイの香りが心地良い。
「桜子ちゃんも飲むえ?」
「あっ、ありがとう。藍」
桜子達の勉強部屋は、“はねくみ”メンバーが集まれる様に二人掛けのソファーが二脚運び込まれていた。
もちろん、桜子、こころ、そして、藍が座るのは自身の勉強机の椅子である。
こころも戻ってきて自身の椅子に座ると、桜子は一同を見回し話を切り出した。
「今、学園で悲しい出来事が起こっててね、アタシはそれを許すことが出来ない。ウラを取って、もし、それが事実であれば、その時は・・・」
藍が目を細め問う。
「どうするんどすか?」
「潰す」
桜子はボソリと冷たく告げ、詳しく話出した。
ローズがエリザベスから、雪江が直子に書いた手紙を解説してもらいながら、読み、怒りを表す。
「Fuck! What's a fuckin' brother!」
エリザベスも顔面を蒼白にさせ、
「雪江があまりに、かわいそうです。桜子」
「ええ。死ぬなんてさせない、絶対」
こころが、ぶっきらぼうに、
「潰すしかなかね、そんな組。馬鹿兄貴ともども」
軽くため息を吐き、
「今回の相手は、ヤクザよ。慎重に物事は、運ばなければいけないわ」
もっとも、ヤクザと聞いて恐れおののく“はねくみ”のメンバーでは無い。
桜子は、一人じっと目を伏せ話を聞いていた皐月に、
「あなたはどう思う?」
皐月は、掛けているセルフレームの黒縁眼鏡を外すと、
「まだ見えてない事実が、あるんじゃないのかしら?馬鹿兄を潰すのは簡単、拉致って壊せばいいんだから・・・」
桜子はふむと頷き、
「そうね、残された時間は少ないけど、調べてみないとね・・・。どれだけ判明るか分からないけど、明日はそれで動きましょう。いい?」
一同は頷く。
桜子はこころに顔を向け、
「明日は府警本部に行くのよね?こころ?」
「うん、昼前に鉄さんとこ行って、報告するったい。4時には戻るとよ」
「理解った。それでいいわ。難しいだろうけど、出来るだけ鉄さんから情報を聞き出して」




