ep.051 アナタの真実を教えて?
桜子は、“はねくみ”の全員に集合時間を23時に変更すると告げ、直子とこころを伴い五階に上がって行った。
桜子が二人を誘ったのは、五階の空いている一人部屋を利用した桜子の執務室である。
部屋に入ると桜子は、直子を一人掛けのソファに座らせた。
刹那、桜子が直子の額に手を当てると、直子は眠った様に静かになる。
一方、こころは黙って壁にもたれ、腕を組んで様子を見ていた。
桜子は、薔薇の香りのアロマキャンドルに火を着け、照明を薄暗くすると、催眠術による真実を聞き出す為の誘導を開始する。
限りなく優しい声で・・・。
「直子ちゃん、アナタの知っている事、教えてくれるかな?」
桜子は、直子に拉致事件の顛末、そして、雪江との今までについて聞き出した。
《この直子ちゃんは、雪江ちゃんの事、大事に思っているのね・・・》
桜子は直子のストレスと不安の元を取る暗示を掛け、意識を戻した。
「生徒会長、アタシ・・・」
桜子が言葉を遮った。
「直子ちゃん、アタシの事は、桜子って呼んでくれていいのよ」
「えっ・・・、じ、じゃあ、桜子先輩。アタシ、今後どうしたら・・・」
「何もしなくていい。ううん、誤解を招くわね。直子ちゃんは、友達の雪江ちゃんに、いつもの様に接してあげて。それでいいわ」
「はい」
心の中の悩みを桜子にも話したので、かなり直子は気持ちが楽になった様子である。
桜子は、こころに目をやると、
「こころ、直子ちゃんは誰の部屋に泊まるの?」
「そうとね、今日はウチらの部屋がいいと、ウチは思うとよ」
「そうね、それが1番今日のトコはいいか・・・」
桜子は、直子に向き直ると、
「と言う理由だから、今日はアタシ達の部屋のベッドで寝てくれるかしら」
「あわわっ。いいんですか?アタシなんかが、先輩達の部屋に泊めてもらって」
「うん」
桜子は優しく笑う。
「但し、少しの間だけ仲間内だけで話したいから、先にお風呂入って、リビングでくつろいでてくれるかな?終わったら呼びに行くから」
「はい、桜子先輩」
「こころ、直子ちゃんをお風呂に案内してあげて。アタシは先に部屋に戻っているわ」




