表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
一日目
39/243

ep.039 的屋“河内稲美会”

「直子、ここで間違いなかね?」

V-maxを停め、こころが尋ねる。

直子は頷く。

「なかなか、昔の任侠映画に出てきそうな家ばい」

こころは、古呆けてはいるが、立派な門構えを見て感心した。

《河内稲美会か、いい大紋たいね・・・》

今でこそ裕一が無茶苦茶しているが、河内稲美会自体の歴史は深く、昭和初期にまで遡る。

元々は寺社仏閣などの祭を仕切る的屋(てきや)の家柄であった。

しかし、人気(ひとけ)が無い。

ヤクザの家にしては、誰もいないのだ・・・。

こころと直子は、門の扉を叩く。

しばらくして、家の中から老女の声で、はいはいお待ち下さいよと返事があった。

門の扉が、ギイと音を立てて開くと、和装に割烹着を着た品のある老女が顔を出し尋ねる。

「お待たせしました。何のご用心ですか?」

直子は頭を下げ、

「聖クリで同級生の鈴木と申します。雪江さん、居ますか?失礼ですが、御祖母(おばあ)様ですか?」

こころも続く、

「ウチは鷹見といいます」

老女は、よっぽど雪江への来客が嬉しいのか破顔する。

「私が御祖母(おばあ)様?とんでもない。私は住み込みでお手伝いをさせて頂いてるトメと言います。雪江お嬢さんは、学校からお帰りになられて、ご自分の部屋にいらっしゃると思いますが・・・。お待ち下さいね」

そう告げると、頭を下げ家の奥に消えて行った。


トメは戻ってくると、

「お会いになるそうです。こちらへ」

直子とこころは、トメに案内され長い廊下の奥にある雪江の部屋に着く。

トメは頭を下げ、私はここでと戻って行った。


直子が、雪江の部屋の引き戸をノックし告げる。

「ゆっきー、入るよ」

何かを片す音がして、雪江が応える。

「どうぞ・・・」

引き戸を開けると、雪江の部屋は12畳の和室であった。

電灯が二個あるところから、元は6畳の和室を二つくっ付けた事は想像出来る。

雪江は勉強机に向かっていた。

「初めて入ったけど、めっちゃ広いね、雪江の部屋。あっ、こちらは・・・」

椅子を回転させ振り向くと、雪江は冷めた口調で、

「知ってるわ、聖クリの運動部総代にして、そして、幾つかの日本代表、鷹見こころ先輩。その鷹見先輩と直子が、そろって何の御用ですか?」

《ちゃー、一番苦手なタイプったい・・・》

早くも雪江は、静かに臨戦体制の様だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ