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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
一日目
38/243

ep.038 内緒にしてくれ!

ハルナは驚き、他の客の手前もあるから座る様促す。

山崎は従った。

「何やアンタ、知ってたんちゃうのん?」

山崎は首を横に振る。

「ある事があって消息不明やったんや・・・」

「ふーん、ややこしそうやから、そこは聞かんとくわ」

「あぁ、そうしてくれ。それから、ハルナさん、一つ頼みがある。」

山崎の真剣な眼差しがハルナを見た。

ハルナは軽くため息を()くと、

「何なん?」

「実は、政さんが生きている事、内緒にして欲しいんや。理由は言われへんけど・・・」

ハルナは、少し考え首を縦に振る。

「ええよ。もう喋れへんわ」

「ありがたい」

そう言って、深々と頭を下げた。

山崎は立ち上がると、近々指名して飲ませてもらうと告げ、立ち去ろうとした。

ハルナが声を掛ける。

「山崎さん、忘れ物」

振り向く山崎に、ハルナは栓の開いていないドンペリ・ピンクを差し出した。

「コレは山崎さん、アンタのお酒や。持って行って」

「ええんか?」

ハルナは頷く。

ニッと笑うと、

「なんか良くない事もあったみたいやけど、少なくとも柳沢さんに関しては、ええ事なんやろ?だったらその分は、祝杯上げんとあかんやろ?」

山崎は頭を下げる。

「気を使わして、スマン」

ハルナが笑いながら訂正する。

「山崎さん、アンタ、ホンマにスマン良くいうヤクザやなぁ。こんな時は、“おおきに”だけでええんやで」

山崎は、ずけずけと物を言うハルナを気に言ったのか、破顔すると、

「じゃ、遠慮なく。おおきに」

そう告げ、店を出ていった。

ハルナは追い掛け、店の扉を開ける。

顔を覗かせると、エレベーターを待つ山崎の背中に、

「山崎さん、アンタ、頑張りや!」

山崎は振り向かず、右手を挙げ、そのままエレベーターの中に消えていった。


一方、ハルナは店内に戻ると、マネージャーに、

「メモ書きの通り足りない分、ウチの給料から引いて」

とだけ告げて、控室に消えて行った。

《まだまだ稼ぐでぇー。しかし、あの山崎ってヤーサン、思いの外、ええ男やね。あの組長と補佐よりは、ずっと威厳あるわ。せやけど、親が替えれないって大変やなぁ・・・。とりあえず、ジュース飲んだら、化粧直そ!》

ハルナの夜は、まだまだこれからなのである。

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