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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
一日目
35/243

ep.035 最悪な酒癖

既にランは謝辞を述べ、岸田の横に座り乾杯の用意をしている。

ハルナは改めて裕一の横に座ると、営業用の笑顔で、

「ありがとう、稲ちゃん。ウチ、嬉しいわぁ」

と照れてみせた。

裕一はニヤニヤ笑い、

「ハルナちゃん、俺に一目惚れしたやろ?好き好きオーラ出てるから、理解(わか)るねん。素直になれよ」

《はぁ?何?この気持ち悪い勘違いヤローは?めっちゃキモいんやけど・・・》

ハルナは呆れ、どうとでも取れる対応をした。

「もぅ、稲ちゃん、上手いんやから~。あちこちのキャバ嬢にそーやって、口説いてるんでしょ~」

ハルナは、裕一の二の腕を優しく抓る。

更に裕一は勘違いして、鼻の下を伸ばした。

ハルナは視線を岸田とランに移し、目配せする。

「さっ、乾杯しよ!稲ちゃん、岸ちゃん」

ハルナとランは、ウーロン・ハイの様なウーロン茶を可愛く持ち上げ、

「男前な稲ちゃんと、ダンディな岸ちゃんに出会えた素敵な夜に!」

「カンパーイ!」


岸田がランと、裕一がハルナと、話だして暫くすると、ボーイが請求金額が書いたメモをさりげなく置く。

ランが岸田に渡す。

岸田が裕一に尋ねた。

「どうします?ボン?」

裕一はハルナをじぃーっと眺め、いやらしい想像をしてから、吐き捨てるように言った。

「岸田、延長や。それから、ボトルも入れたるわ」

裕一は、何故かハルナを気に入っている様である。

「そん代わり、アフター付き合えや!何時に終わるねん?」

「えー、どうしようかなぁ・・・。なんか目的がアヤしぃなぁ~」

ハルナが、じぃーっと疑いの眼差しで、裕一を見つめる。

「もちろん、メシ食って、ホテル行くんや。何回でもイカせたるわ」

《このアホ、もう酔っ払ってる?》

ハルナははぐらかした。

「もー、稲ちゃん、エッチやねんから~」

瞬間、裕一がハルナの右胸を掴んだ。

「さっきから思ってたんや、お前、ええ乳してるやんけ」

《このドアホ、あんだけのビールでマジ酔っ払ってる!最悪な酒癖や!》

ハルナが、裕一の頬を思いっきり叩いた。

「おどれ・・・」

ハルナが言葉を遮る。

「か!」

「あー?」

「だから、蚊!」

ハルナは手の平を見せる。

季節外れの蚊が潰れて死んでいた。

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