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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
三年後
241/243

ep.241 二羽の朱雀

「いよいよ、明日、嫁入りなんだねぇ」

雀村トメは、しみじみと稲美雪江の部屋に掛かっている白無垢を眺める。

白無垢はトメが思いを込めて縫い上げた物だ。

トメは、横に座っている雪江に視線を戻し、

「いいの?あたしの手縫いなんかで・・・、こうふわっとしたウェディングドレスとか着たくなかったのかい?」

雪江は首を横に振り、

「いいの、トメ祖母ちゃん。アタシがトメ祖母ちゃん縫ってくれた白無垢で、嫁入りしたかったの。あっ、厳密には婿取りだった。ははっ」

そんな時である。

部屋の扉がノックされ、柳沢政人の声がした。

「雪江、入っていいか?」

どうぞの声と共に、引き戸が開き政が部屋に入る。

政は、トメに笑いかけ、

「トメさんも、こちらでしたか・・・」

「あら、嫌だ。お邪魔だわね」

トメは気を利かせて部屋を出ようとするが、

「いえ、トメ祖母ちゃんにお話が・・・。なぁ、雪江」

政は雪江に視線を投げ、何かを促す。

雪江は頷き、意を決した様子で、

「実はトメ祖母ちゃんに、見てもらいたいものがあるの・・・」

トメは不思議そうに、

「え?何なんだい?何かいいものかねぇ」

政は雪江を見て、改めて頷く。

「済んだら呼んでくれ」

そう言い残し、廊下に出た。

「何だい何だい、政は入ったかと思うと出ていっちまって、ったく、何があるんだい?雪江」

雪江は、じいっとトメを見つめ、

「トメ祖母ちゃん、アタシがいいって言うまで、後ろ向いて目をつむっててもらっていい?」

トメは笑うと、雪江に背を向け、

「はいはい、これで良いかい?」

手で顔を覆う。

「ええ。そのままね」

雪江は立ち上がると、プライベート・レーベルの白いセーター、そして、ジーンズを脱ぐ。

トメは、衣服か落ちる音を聞いて、

《おや?雪江は何を・・・》

雪江は、残るブラジャーとショーツを脱ぎ、背中をトメに向けると、

「トメ祖母ちゃん。いいわ、こっちを向いて」

トメは、手を顔から離し、振り返る。

刹那、トメは固まり、目に涙が溢れ出す。

「雪江。あっ、あんた、何て事を・・・」

雪江の背中で、色鮮やかな朱雀が羽ばたいていた。

トメの背中の朱雀と、全く同じ図柄で・・・。

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