ep.024 直子の告白
「何ね、それ!」
こころは、オレンジジュースのグラスをテーブルに叩き着ける。
顔を横に振り、
「なんもかんもおかしか話ね、確かにアンタの友達の直子ちゃんは、かわいそうな目に遭ったと思うと。まったくを持って、ウチは納得出来んとよ」
直子の告白と、彼女が強いられようとしている理不尽な内容に、こころが異を唱えた。
怒りの度が過ぎたのか、頭が冴えてくるのが理解る。
「直子、アンタ、おかしいとは思わんね?話が出来過ぎとっと」
「こころ先輩、どういう事ですか?」
「話聞いていて、何点か疑問を感じたったい。一つ目は、何故アンタらを襲撃した犯人は、雪江ちゃんだけを暴行したのか?普通、強姦は言い方悪いかけど、犯るのが目的ったい。何でアンタを犯やらなかったと?アンタと雪江ちゃんの素性を知っていた?だったら、余計におかしか話ね。考えてごらん、直子。もし、二人の娘がおって、片方がサラリーマンの娘、片方がヤクザの娘、アンタならどっちに手を出す?」
「アタシなら、サラリーマンの娘です」
「そうったい。サラリーマンの娘なら、捕まっても警察ね。けど、ヤクザの娘、しかも組長の妹に手を出したら、ウチは警察以外にも、組織による報復があると思うと。普通、絶対、手を出さん相手ね」
「確かに・・・」
「さっき言いよったね?アタシに見せ付ける様にって。これもおかしか点ね。普通、捕まりたくなかけん、目隠しとかするったい。特徴覚えられて、警察行かれたら、終わりばい」
「あっ」
「後、雪江のお兄さんの動きも気になるとっ。なして、タイミング良く、棄てられた場所にすぐ現れたと?連絡もしていないのに・・・。病院に連れていくのはいいとして、何故、警察を呼ばんと?面子?おかしか話ね。もし、襲われていないアンタがけしかけたって判断になり、その結果、より詳しい話とアンタから話を聞くため堺インペリアル・ホテルで会う必要性があると?日曜日に?」
「それは・・・」
こころは首を横に振り、ため息を吐くと、
「ウチも福岡で、ヤクザとやり合った事があるけん、理解ると。アイツら、身内に泥塗られて、何日も黙ってる人種やなか。普通なら、直子、アンタが怪しいなら吊しあげても、その日のうちに吐かせて出入りね。組長の顔に泥ば塗っとるばってん、組をあげての・・・」
「なるほど」
直子が頷く。
こころは立ち上がり、直子にけしかける。
「直子、今から雪江に会うったい。案内してくれんね」
「はい」
直子の表情は、告白する前に比べ格段に明るくなっていた。
《こん話、根はかなり深そうったいね・・・。いづれにせよ、ウチが全部潰す・・・》




