ep.237 夏祭り
秀が、そんな事を考えながら林檎飴を作っていると、
「秀さん、こんにちわ。林檎飴7個下さい」
目を上げると、見知った桜子達が色取りどりの浴衣姿で微笑みかけ、
「これは、姐さんの先輩方。皆さんで夏祭りへ?」
「ええ、寮生全員来てますわ。もちろん、通学の生徒もね。ね、瑠奈」
「ぅん」
秀は林檎飴を次々と渡していき、
「お代はいいです。姐さんの先輩からは、もらえませんから」
桜子は少し困った顔をして、
「でも、1個や2個ならともかく、7個も・・・。それではこっちが困ります。じゃあ、キリのいい処で、6個分三千円お支払いします。で、1個サービスでいかが?」
秀はニッコリ笑うと、
「それでいいです。勿体ない儲けだ」
桜子達は料金を支払い、頭を下げると立ち去る。
刹那、秀が瑠奈を呼び止め、手招きした。
瑠奈に紙袋を渡し、送りだす。
「どうしたったい?瑠奈?」
「ぅん、こころちゃん。これも皆んなで食べてくれって」
紙袋には、さくらんぼ飴が7個入っていた。
桜子達全員が、秀の露店に顔を向け頭を下げた。
秀は手を振って答える。
そうしてる間に公園の方から、軽快なメロディーが聞こえてくる。
河内音頭だ。
藍は、林檎飴とさくらんぼ飴を両手に持つと、ご機嫌な様子で、
「ほんに、この飴は美味しおすな」
ベスも林檎飴をかじりながら、
「うん、やみつきになるわね。美味し~」
既に両方食べてしまったこころは、
「ローズ、ウチらは先に踊りに行くとよ」
ローズはまださくらんぼ飴を食べてはいたが、
「Oh!盆danceネ!行きまーしょウ」
そう行って駆けて行った。
「ホント賑やかね、あの娘達は。くすっ。私は見てるだけで・・・」
少し髪が伸びた皐月が笑う。
「あら、皐月。アタシ達も行くわよ」
「え?桜子。それって・・・」
瑠奈も大きく頷き、皐月の手を取ると、
「踊ろ、皐月ちゃん。後でぃぃ思ぃ出になるから・・・」
「はい、行ってらっしゃい」
桜子は、皐月と瑠奈の背中を押した。
瑠奈に引っ張られ皐月も、盆踊りの輪の中へ。
桜子がよく見ると、いつ落ち合ったのか雪江も直子と列んで踊っている。
《良かったね。雪江ちゃん、直子ちゃん》
感傷に浸ってる桜子の右手を藍が、左手をベスが引っ張り、
「桜子ちゃん、ウチらも行くえ」
「そうよ、楽しまないと」
桜子は大きく頷き、
「そうね、せっかくのお祭り。踊ろうか!」
三人は、輪の中に入っていった。
桜子達の祭は、まだまだ終わらない。
完
おかげさまで、一応はねくみ☆セブンの再リリース完結しました。
でも、真の完結はもう少し後です。
短篇ではありますが、後日談が2ストーリーあります。
時間軸が開く為に別話とさせて頂きました。
もう少しだけ、お付き合い下さい。
さて、このお話は元々2009/7/21~2010/2/19の7ヶ月に渡って書かれた物です。
再リリースに辺り、全編を読み直し、表記の修正等を行いました。
色々書きたい事も多いのですが、それは独りでポン!2にて述べさせて頂きます。
はねくみ☆セブン、如何だったでしょうか?
お楽しみ頂けたら幸いです。又、ご感想等頂けると執筆の励みになります。
それでは、又、お会いしましょう。
こころ龍之介




