ep.235 稲美雪江様へ
ゆっきー、元気ですか?
今は二時間目の三好先生の授業中です。
え?サボるな?
雪江は生真面目だなぁ。
大丈夫だよ。
三好先生は風邪引いてお休みなの、だから生物の時間は自習なの。
安心した?
今は何してますか?
宮司さんや住職さんと、打ち合わせ?
それとも、何処かのお祭りで、露店仕切ってるのかな。
秀さんや礼司さん達も一緒だから、楽しいだろうね。
あの時、ホントに色んな事があって、気付けば雪江休学するんだもん。
びっくりしちゃったよ。
桜子先輩から聞いたけど、最初は“学校辞める”って言ったんだって?
でも、雪江がそうやって筋を通す気持ち、なんとなくだけど分かります。
中途半端じゃ出来ないもんね。
ちょっと淋しくなるけど、雪江の選んだ道だもん。
アタシも応援するよ。
頑張ってね。
そう言えば、昨日部活でね。
三年の二上キャプテンが、『この前練習に来ていた女の子、バレー部入んないかなぁ』って言ってたよ。
ほら、ウチのバレー部って、こころ先ぱいや怪我してアタシの指導してくれるみぃ先ぱい、そして、アタシとかアタッカーが多いじゃない。
今度掛け持ちで入るローズ先ぱいも、やっぱしアタッカーだし・・・。
二上キャプテンは、雪江をセッターとしてスカウトしたいみたい。
次の世代の為にね。
あっ、こんな事も言ってたよ。
『あの子は視野が広いから、試合をコントロール出来る』って。
何か誉めてばっかだったよ。
雪江の才能見抜いてるんじゃないかな。
アタシなんか、みぃ先ぱいにしごかれてばっかりなのに、妬いちゃうな。
でも、雪江が上げてくれたトスなら、どんな難しいボールでもアタシは絶対決めれる。かな。
アタシが無理でも、こころ先ぱいなら・・・。
ははっ。
また一緒にコートに立ってみたい、試合が無理なら練習でも・・・。
雪江、バレーボール一緒にやろう。
これがアタシの本音です。
長々とアタシの言いたい事、書いちゃったね。
雪江の都合もあるのに・・・。
ゴメンね。
学校で会える日を信じて。
鈴木直子
追伸、駅前のタコ焼き屋台で仁さんが頑張ってますね。




