表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
一週間後
231/243

ep.231 女と女の約束

トメは続けた。

「それから十数年の月日が流れたある日、青龍が熱海に訪ねて来たのさ。『美由紀が呼んでる。会ってやってもらえないか?』ってね。あたしが駆け付けると、姐さんは病院の個室で静かに笑ってね。言うんだよ。『この人の後添えになってくれへんか?小雪のお母ちゃんにも・・・』って。辛かったろうに・・・。その時さ、学校帰りの小雪が病室に入って来てね。『お母ちゃん、今日、テストで百点取ったわ。安心して、ゆっくり病気治して。若い衆のご飯は、アタシがちゃーんとするから。あれ?この(ひと)は?お母ちゃんの友達?』って。姐さんが真実を話そうとするので、あたしゃ思わず言っちまったよ。『はじめまして、お嬢さん。あたしは、昔、姐さんに世話になった雀村(すずむら)トメといいます。今日からお手伝いとして、お嬢さんや若い衆のお世話させてもらいます』ってね。すると、小雪が帰った後、姐さんが怒ってね。『アンタ、何て事するんや。せっかく母子の名乗りをさせようと思てるのに!』って。あたしゃ言ったよ。『姐さん、小雪はあなたの娘です。あんなに一生懸命、姐さんを慕い、元気付けようとしてるじゃありませんか。あたしは、立派に育てて頂いた姿を見れただけで充分です。戻られるまでの間、お手伝いとして働かせてもらいます。だから、早く良くなって・・・』って。そうしている間に、あたしが“河内稲美会”にお手伝いさんとして入って、安心したのか姐さんが亡くなり・・・。だから、正確には、姐さんの遺言じゃなく、あたしが勝手に姐さんとした女と女の約束。だから、姐さんが亡くっても、名乗るつもりは無かった。娘の姿見れて、世話出来るだけで、充分だったからね。それが、この話の真実さ」

トメはスッキリした顔で、

理解(わか)ったかい?雪江。アンタには血は繋がってなくっても、その立派な先々代の姐さんの魂が受け継がれてるんだ」

厳之介がニヤリと笑い、付け加える。

「この鉄火な朱雀の魂もな」

「だから、半端な気持ちで、組、仕切っちゃいけないんだよ」

「はい。トメ祖母(ばあ)ちゃん」

雪江の目に、迷いは無かった。

深呼吸して、桜子達に顔を向け、精一杯の笑顔を作ると、

「先輩、アタシ決めました。学校、辞めます」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ