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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
一日目
23/243

ep.023 アニキの盃

瑠奈が出ていった柳沢の病室では、

「礼司、頼みがある」

「なんでしょう?アニキ?」

「俺の代わりに、雪江お嬢さんの身辺、護ってやってもらえないか?お前のお陰で、幸い怪我も大分癒えた」

礼司の目が輝く。

「はい、いいんですか?」

「あぁ、雪江お嬢さんにしろ、岸田や裕一坊ちゃんも、お前の顔知らないから一番頼み易い」

了解(わか)りました、アニキ」

礼司は、まだ何か言いたそうだ。

「なんだ言ってみろ?」

「はい、(ひとし)智巳(ともみ)も、アニキの盃欲しがってます」

柳沢は無言で立ち上がると、礼司を殴り付けた。

「バカヤロー!俺は子分を増やしたくって、礼司、お前と盃交わした訳じゃねぇ!今後、その話出しやがったら、破門だからな。お前から、そいつらに言っとけ!カタギでいろって」

礼司が顔色を変え、土下座する。

「アニキ、申し訳ありませんでした」

柳沢は、それ以上は深くは言わなかった。

財布から、雪江の写真と現金を10万程抜き出すと、礼司に渡す。

「さっきは殴ってすまなかったな。これを当面の活動費用に使ってくれ。すまんが、雪江お嬢さんを頼む」

「はい、今日から警護します。何かあったら、すぐ連絡しますんで」

そう言って頭を下げると、初めてアニキから頼られた仕事が嬉しいのか足早に出ていった。

一人部屋に残った柳沢は、グラジオラスを見詰め、

《雪江お嬢さん、俺はまだ親父(おやじ)さんや、姐さんの最後の言葉を、貴女に伝えなくちゃいけねぇ。一緒ににはなれなくても、それだけは・・・》


一方、部屋を飛び出した礼司は、車の中で頭を抱えていた。

《困った。どうやって、仁と智巳に無理やったって言おうか・・・。あれ以上ヘタに言うと、せっかく盃もらった俺が破門になるもんなぁ・・・頭痛いわ》

ふと一年前の事を思い出す。

《しかし、アニキ、あんだけの怪我からよくあそこまで戻られたよなぁ・・・。不死身やな・・・、俺も鍛えなあかんわ》

そう思うと、車のエンジンをかけ、自宅に一度帰る事にした。

バイクの方が、警護するのに向いているからである。

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