ep.228 厳之介は語る
「しかし、この総本部に乗り込んできたのは、お嬢ちゃん達で、二組目だな。あんときゃあ大変だったが。くっくっく」
厳之介は、昔を懐かしみ笑う。
雪江が驚き、
「そんな事が?総会長さん」
「18年も前になるか。しかも、お嬢ちゃん達の先輩だ」
桜子が記憶をたどり、
「噂で聞いた事有ります。確か・・・、くらら会。理事長や真さま、鉄さんが居てた不良グループですよね」
「ちゃー、鉄さんなら納得出来っと、でも、理事長や真さんもヤンキーとね?これは意外とよ・・・」
こころは、驚く。
藍が、いつになくニヤニヤして、
「何言ーてますの。こころちゃんも、昔、ヤンキーやったどすがな。ウチ、ちゃーんと覚えとりますえ」
ここぞとばかりに、ベスも、
「クスッ。確かそうだったわ。入学式で日本人の金髪がいると思ったら、こころだったのよね」
桜子が呆れて、
「ふーん、そんな事が?アタシが、転校して来た時に、喧嘩を吹っ掛けてくる訳だ」
「もー、ウチの昔の事はよかとよ」
こころは、顔を真っ赤にして照れた。
場が一気に和む。
トメさんも、ケラケラ笑い、
「雪江、楽しい先輩方だね」
雪江も、笑い過ぎて涙目になり、
「はい。頼もしい先輩です」
雪江は、はっと思い出した様に、
「そう言えば、トメさんて、どうして、虎谷の総会長さんの事を?」
「気になるかい?」
「はい、トメさん」
「言っちまって、いいかねぇ?白虎の」
厳之介が、珍しく少し照れ、
「しょーがねぇな・・・」
トメは、クスッと微笑み、
「この白虎の厳之介はね、昔、あたしにフラれたのさ。あの頃は、皆んな若かったねぇ」
『え”~~~っ』
雪江と桜子達は、うそーっと言った表情で驚いた。
「あんま、デカイ声出すんじゃねぇ。となりの直参連中に聞こえるだろーが」
厳之介は、真っ赤だ。
話題を変えようと、咳ばらいを一つし、
「朱雀の、俺は思うんだけどよ。もう、稲美の先々代の姐さんへの義理は、充分果たしたんじゃねえか。遺言で親子の名乗りはしちゃならねえと決めちゃいたがが、親と孫の名乗りをしちゃいけねえとは、言ってなかったはずだぜ」




