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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
一週間後
227/243

ep.227 七人の先輩

雪江は案内された別室の前で、咳ばらいを一つ。

軽くノックすると、

「虎谷の総会長(おやじ)さん、お待たせしました。稲美、参りました」

「おう、入りな」

中から威厳のある声がする。

引き戸を開け、固まった。


「え?何で?」

「稲美の、早く入らねえか!」

「は、はい」

雪江は目をぱちくりとさせ、入ると引き戸をしめる。

雪江が目にしたのは、聖クリの制服を着た七人の先輩達が、優雅にお茶を楽しむ姿だったのだ。

「先輩、どうして?」

桜子はティーカップを置くと、にっこり笑い、

「当たり前じゃない、可愛い後輩の為よ」

「えっ?」

厳之介は、ガハハと笑い、

「実は昨日の夜中に、このお嬢さん方が、俺ん所に乗り込んで来たのさ。稲美の、お前さんの直談判の為に。もし、“河内稲美会”を潰すなら、差し違えても“天道白虎会”を潰すってな。俺りゃー、久しぶりに(タマ)が縮んだぜ」

こころが首をすくめ、

「いやー、爺ちゃんも、なかなか凄か(おとこ)とよ」

んあっと、口を思い切り開けると生クリームがたっぷり乗ったシフォンケーキを頬張る。

「そうかい?こころちゃん」

「そーとよ、まさかじーちゃん、ウチら全員と、一人で対峙する男気ばあると。さすが、鉄さんの祖父ちゃんね」

「そうかい?もっとお食べ」

こころは嬉しそうだ。

厳之介は、破顔すると、

「稲美の、いい先輩を持ったなぁ」

「はい」

「そそっ、心配したんだからね」

ベスは紅茶を啜り、笑った。

もっとも、心配は口だけの様である。

既に気持ちは、テーブルの上のある物へ。

《芦屋“アンリ・シャルパンティエ”のレアチーズケーキ。あれだけは死守しないと・・・》

一方、そんな事は全くどうでもいいといった感じのローズが、

「ソーデスネ。今回ハ、闘エナークテ、欲求フーマンネ」

右拳を、左手の平にぶつけた。

皐月は皐月で、黙々とショコラムースを口に運び、

「雪江ちゃん。ま、私達には、いつでも甘えてくれていいから」

いつになく、皐月は今回の一件が楽しめたみたいだ。

藍は両手でティーカップを抱えフーッと冷ましながら、にぱあと笑い、

「早く政さん帰ってきたら、よろしおすのになぁ、雪江ちゃん」

瑠奈はうんうんと頷き、

「何がぁっても、ァタシはずっと友達だからね」

雪江は、泣きそうになった。

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