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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
一週間後
220/243

ep.220 稲美の血だから成せる事

今度は、下座の親分衆に身体を向け、

「先程は親分さん方のご心配をかけ、申し訳ありませんでした。至らない処が多々有るとは思いますが、何分若輩者でございますのでご容赦の上、ご指導下さいます様、お願い申し上げます」

口上を述べ、はっと気付く。

《これが稲美の血?アタシ、今、何んて言った?習った事も無いのに・・・》

直後、自然と大広間のあちこちから拍手が起こった。

雪江は、何度も何度も頭を下げ、親分衆に礼を述べた。

厳之介は、雪江に声を掛ける。

「稲美の。中庭を見てご覧」

厳之介が、顎で指示を出すと、大広間と中庭を仕切る障子とガラス戸が外された。

雪江は、その光景を見て驚く。

秀を始め、忠志、義雄、信二郎、孝弘、悌士、礼司、仁、智巳の稲美八犬士。

そして、今は隠退させられている政一派の面々、総勢約20名。

その男達が、土下座をしたまま動かない。

厳之介はスクッと立ち上がり、縁側まで行くと秀に声を掛けた。

「お前ら良かったな。お嬢ちゃん、立派に役勤めたぜ」

雪江も厳之介の所に駆け寄り、

「虎谷の総会長(おやじ)さん、これは?どうして、秀達が?」

「こいつらな、昨日の夜からここで、お嬢ちゃんの組長代理就任の許可を貰いたくって、ずっと土下座してたのさ。いい舎弟持ったな、稲美の」

刹那、秀が感謝を厳之介に述べた。

雪江に、嬉し涙が一筋こぼれる。

「アンタら、それで昨日から見えなかったのかい・・・」

「すいません、姐御。勝手しまして・・・」

「馬鹿だよ、アンタら、大馬鹿だよ。でも・・・、ありがとう」

雪江は頭を下げた。

厳之介は、秀達に告げる。

「お前ら、安心したか。良かったな。別室に飯用意してるから、食え。その前にウチの風呂も入って行け!分かったな」

『へい、ありがとうございます』

秀達は謝辞を述べると、行儀見習いの若い衆に案内され中庭を後にした。

雪江は安心したのか、

「ありがとうございます。虎谷の総会長(おやじ)さん」

そう言って、頭を下げた。

柄にもなく厳之介は少し照れ、

「ま、親らしい事をしたまでだ。稲美の、その空いてる席座りな。そこがこれからのお嬢ちゃんの席だ」

指差したのは、直参のみが座れる上座の末席だった。

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