ep.022 姐さんの母校
瑠奈は、お茶をすすると、正直に今日のいきさつを話した。
もちろん、雪江と仲良くなった経緯も含めて。
それでも、柳沢はにこやかに笑い、雪江お嬢さんを今後も宜しくお願いしますと頭を下げた。
瑠奈は、柳沢が聖クリでの学園生活に付いて聞きたがったので、事細かに年間 行事や熱い教師達に付いても話した。
柳沢は、大きく頷き感心する。
「さすが亡くなった姐さんが卒業された学校だ」
瑠奈が驚く、
「ぇっ、雪江さんのお母さんって、聖クリの卒業生なんですか」
「ええ、雪江お嬢さんは知りませんが・・・、そう言ってるあっしも、たまたま昔、お送りしている時に、親父さんと姐さんが話しているのを耳にしただけで・・・」
瑠奈は微笑み、
「柳沢さん、雪江ちゃんの事が大事なんですね。雪江ちゃんの事は、ァタシも出来る限り協力させてもらぃます」
そう告げると、鞄からノートを取り出し一枚破った。
自分の携帯番号とメールアドレスを書くと、柳沢に渡す。
柳沢は、少し受け取るのを躊躇した。
「瑠奈さん、いいんですか?あっしみたいなヤクザもんに?」
「はぃ、雪江ちゃんの大事な人ですから、信用出来ます」
どうやら瑠奈は、雪江と柳沢の仲を取り持つつもりらしい。
「かたじけない。おい、礼司、俺達のもお教えするんだ」
そう言って、再び頭を垂れた。
礼司が、柳沢と礼司自身の携帯番号とメールアドレスを書いて瑠奈に渡す。
瑠奈は壁に掛かってる時計を見て、
「ぁっ、柳沢さん、すいません。ァタシ、そろそろ行かなくちゃ・・・」
柳沢は、引き止めた詫びを入れると、大福の入った袋を瑠奈に差し出した。
瑠奈は、素直にもらう事にし、頭を下げる。
「ぁりがとぅござぃます。また何か有りましたら、ご連絡しますね」
そう告げると、部屋を出て行った。
明日、雪江と会って話を聞く事は、柳沢達には言わなかった。
《雪江ちゃんの大事な人とはいえ、雪江ちゃんに許可取ってなぃもんね・・・》
瑠奈は自身に言い聞かせた。
階段を駆け足で下りる。
そこには、大好きな正樹が待っているのだから・・・。




