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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
三日目
214/243

ep.214 コレはせんでええやろ

山のようにデカイ男、その表現が“鉄”こと大阪府警本部・特別資料室、虎谷(こたに)刑事に相応しい。

「今日は、ホンマややこい事件が多いなぁ。腹減ってかなわんわ」

のっそりと愛車ハマーから降り、左手に持ったカレーパンを一口で頬張る。

《やっぱ、堺湾岸署に来たら、山田ベーカリーのカレーパン食べんとなぁ。ごっつ美味いわ。ま、あっちは、美保ちゃんに応援頼んだから大丈夫やろ》

ギロリと岸田の個人事務所の入るマンションを見上げ、中に入っていった。


既に鉄から指示が出ていたので、現場に着いた警官は現状を保ったまま彼の到着を待っている。

もちろん、桜子達も警官達に引き止められていたので、動けずにいた。

非常階段に重たい音を響かせ、鉄がやって来る。

「ご苦労さん。待たせたな」

その声の主を見て、政はハッとした。

見掛けた事がある顔がそこに。

「あなたは、“天道白虎会”の・・・」

鉄は、ちっちっちと人差し指を振り、

「ここでは府警本部の虎谷刑事や、話がややこなるからな」

鉄は屈むと岸田の遺体に手を合わせ、ちらりと政を見て、

「で、自分が()ったんか?」

その時、警官を振り切って雪江が叫ぶ、

「ち、違う。違うの、政さんはアタシを助けようとして」

鉄は雪江を見て、

《なんや、聖クリの後輩かいな・・・》

「どいて」

桜子は警官を睨み、動けなくすると、

「鉄さん、お久しぶりです。桜子です。アタシも証言します。この雪江ちゃんが言った事は本当です」

鉄は立ち上がると、頭を掻き、

「かなわんなぁ、聖クリのクィーンまで登場かいな。なるほどな、だいたい理解(わか)った。自分らが嘘言うとは、思わんしなぁ」

鉄は、慈悲深い目を政に向けると、

「で、政さん。自分は?」

「過失かも知れませんが、もみ合って、結果、俺が()ったんだと思います」

「報告で聞いた上にあった女の死体は?」

「俺が来た時には、既に・・・」

鉄はため息を()くと、

「そーか。ま、嘘着いたトコで、硝煙反応出るか・・・。見たら判明(わか)るしな。詳しく事は本部で聞くわ。政さん、同行して貰えるか?」

政は黙って頷く。

鉄は手錠を取り出すが、首を横に振り、

「ま、コレはせんでええやろ」

そう言って手錠をしまった。

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