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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
三日目
213/243

ep.213 岸田の最期

「うっ、嘘や!そんなはず、有るわけない・・・。ボンが隠退やなんて・・・」

岸田は動揺を隠せない。

桜子の背後にあるエレベーターが開き、岸田に声が掛かる。

政を抱きかかえた秀だ。

「本当です、補佐。裕一さんは、隠退されました。“天道白虎会”総本部にも連絡済みです。今頃は、周辺の親分さん連中にも、連絡は行ってるはずです。もちろん、“姫路不動組”にも・・・」

岸田は額に汗を浮かべ、

「秀、オドレ、何、勝手な事しとんじゃ!」

遠くからパトカーのサイレンが聞こえる。

岸田は、スーツの袖で汗を拭い、

《ヤバい・・・、ここおったら、俺・・・》

雪江も必死に諭そうと・・・、

「岸田さん、もう止めて・・・、これ以上罪を重ね・・・」

「オドレも、うっさいんや!」

短刀(ドス)の柄の部分で、雪江の首筋を叩いた。

「うっ・・・」

雪江は意識を失う。

「オドレら、近付くな!」

岸田は周りを睨みつけた。

雪江を羽交い締めにしたまま、非常階段に向かって引きずる。

《今しかない!》

桜子は岸田に呼び掛けた。

「岸田さん」

「黙れ!」

そう吐き捨てた刹那、岸田は固まる。

直ぐさま桜子は、雪江を解放しようと岸田の腕を解く。

本能が違和感を覚えさせた。

《いつもと違う・・・、何か変だわ・・・》

岸田の執念深さが術を破ったのか、桜子の掛けた術が浅かったのか。

岸田の短刀(ドス)を持った右手が動いた。

非常階段の上から見ていた瑠奈とベスが、同時に叫ぶ。

「危なぃ!」

「危ない、桜子!」

刹那、桜子は雪江を抱えたまま、弾き飛ばされる。

政が動いたのだ。

岸田の短刀に向かって飛び付くと、二人は揉み合いながら非常階段を落ちる。

大きな衝突音がして、政と岸田が止まった。

「痛っ、てて・・・」

政は、足を引きずり身体を摩りながら、ゆっくり起き上がる。

しかし、岸田は二度と立ち上がる事は無かった。

短刀が深々と胸に突き刺さったまま、既に事切れていたのである。

秀や桜子達が近付こうとするが、政が一喝し、

「来んじゃねぇ!」

サイレンの大きさが、パトカーの到着を知らせた。

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