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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
三日目
207/243

ep.207 裕一の頼み事

雪江は固まっている。

自身でもどうしていいか、判断(わか)らずにいた。

もちろん、その場にいた雪江と裕一以外の人間も・・・。

重たい沈黙が流れる。


「も、もういいわ・・・、頭を上げて、裕一兄さん。正直、アナタがアタシにした事を、赦す気持ちには今はまだなれない・・・。ただ、昔の優しかった兄さんに戻ってくれて、今は安心している・・・。けど・・・」

裕一は顔を上げると、

「もちろん、そうだよな・・・。会長としてのけじめは、隠退だ。だが、兄として、そして、人としてのケジメを着けなきゃな・・・」

裕一は桜子に顔を向け、頭を下げると、

「鷲尾さん、頼みがある。僕を壊して貰えないか?昔、親父に聞かされた事がある。どうしても、人の道を外して、責任が取れない時は、自身で自身を裁いてケジメを着けろ。“ワシオ”を探して、頼れって。そうすりゃ、心を壊して貰える。廃人にして貰えるって。君は、そのワシオの一族なんだろ?頼む」

桜子は驚き、

「雪江ちゃんのお兄さん、どうしてそれを?」

「それはね・・・」

トメがぽつりと語りだす。

「おそらく、先代も先々代から聞いたんだと思う。先々代が東京にいた頃に、ある抗争が元で世話になったのが、確か鷲尾(わしお)輝宗(てるむね)・・・」

予想外の名前が出た事に、驚いた桜子は、

「トメさん、それアタシの曾祖父です。それで・・・」

桜子も覚悟を決めたのか、

理解(わか)りました。ならばお引き受け致します。但し、もう完全に元には戻れませんよ。いいですね?」

裕一は、頷く。

「ただ、気掛かりな事が幾つか・・・。こんな時に言うのは大変おこがましいんだが・・・、雪江、“稲美会”を頼む。行き場のない男達の居場所を守ってやってくれ。もし、柳沢さんが生きていれば、お前の事も頼むんだが・・・」

雪江は思わず、言葉を漏らす。

「政さんは・・・、生きてます。今はいないけど・・・」

「生きてたか・・・、良かった。トメさん、山崎さん、妹を、そして、“稲美会”を頼むと、伝えて下さい」

裕一は、また頭を下げ、

「最後に、恵美ちゃんと優を・・・、遠くからでいい、サポートしてやって貰えないだろうか。頼む!」

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