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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
三日目
206/243

ep.206 隠退状と詫び

裕一は周囲を見回し、頭を下げ、

「どなたか、恵美ちゃんと優を、玄関近くの客間に連れて行ってもらえませんでしょうか?」

「アタシが・・・」

直子が名乗りを上げ、二人を連れてて出ていった。

裕一は、軽くため息を()き、

「僕は、一人だけど・・・、本当は一人じゃなかったんだな。全ては、我が儘な僕の早とちりから・・・。馬鹿だな、僕は」

裕一は、秀の方に顔を向け、

「山崎さん。おそらく僕は、貴方にも迷惑かけたんだろうな。申し訳ない・・・」

そう言って頭を深々と下げ、

「教えて貰えませんか?会長として、ケジメつけるのはどうするのがいいか・・・」

会長(おやじ)さん・・・」

秀は、答えていいものか迷っていた。

もちろん、政の盃を貰っているので、今の裕一は敵、つまり、抗争相手の首領(ドン)である。

とは言え、元々の親分でもあったりするので、

「すいません。私の口からは、何とも・・・」

それが答えだった。

裕一は、フッと笑い。

「なるほど、親に言えないのが答え。つまり、隠退(いんたい)か・・・。確かに、それが一番のケジメだ」

今度は、トメさんに顔を向け、

「トメさんにも、酷い事したんだよね、僕は」

トメは驚き、

「あたしゃ、そんなに・・・」

「申し訳なかった」

また深々と頭を下げた。

「トメさん、僕は隠退状を書きたいので、紙とペンを持ってきては頂けませんか?」

トメは少し涙を浮かべながらそれを取りに出て行き、直ぐに戻って来た。

裕一は受け取ると、隠退状サラサラと書き出す。

その眼差しは穏やかだ。

一気に書き上げると、

「これを“天道白虎会”の虎谷総会長に・・・」

そう言って、隠退状を秀に渡した。

会長(おやじ)さん・・・」

秀は涙ながらに、受け取る。

裕一は一度目を伏せ静かに見開くと、穏やかな面持ちを雪江に向け、

「雪江。僕は麻薬(くすり)漬けだったとはいえ、とんでもない事を妹にしてしまった。どれだけ雪江が傷ついたか・・・。ほんとなら、僕が護ってやらなきゃ駄目なのに・・・。決して赦して貰えるとは思わない、ただ謝らさせて欲しい。本当にすまなかった。申し訳ない」

裕一は謝りの言葉を述べると、そのまま土下座した。

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