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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
三日目
205/243

ep.205 けじめを着けなきゃいけない・・・

裕一はうろたえ、

「恵美ちゃん。でも、どうして連絡をくれなかったん・・・」

恵美は首を横に振ると、

「したわ。でも、裕一さんの携帯番号、変わってた・・・」

裕一は、はっとする。

恵美が失踪したと思われた時、岸田の薦めもあり携帯を全く新しいのに変えたのだ。

恵美は続ける。

「父の葬儀が終わって、一度、大学の友達に、裕一さんのマンションを訪ねてもらった事があったの・・・。でも既に転居済みだった。大学に問い合わせてみても、個人情報なので教えられないの一点張り・・・。友達は区役所に行って、住民票を取ろうとしてくれたけど、裕一さんの住民票は無かった。ならばと思い、手紙も書いてみたわ。でも、転居先不明でそれが帰ってきた時・・・、目の前が真っ暗になった。死ぬ事も考えたわ。夜の小樽の街を歩いてて、気が付くと踏切に立っているの・・・、私。向こうから列車がやって来て、このまま飛び込んでしまえば、いっそ楽になれるのに・・・。そう思って身を乗り出した時にね、蹴ったの・・・。優が、私のお腹を・・・。思わず、お腹を抱えうずくまったわ。その時、気付かさせられたの、私は一人じゃない・・・。この子の為に、強くならなきゃって。その為だったら、何でも・・・」

裕一は、桜子に顔を向け、

「鷲尾さん、この子撫でてやりたいから、少しでいい・・・、自由にしてもらえませんか?頼みます」

桜子が目配せすると、藍が術を解いた。

裕一は目を細めると、優の頭を撫でてやりながら、

「恵美ちゃん。優ってどんな字を書くんだ?」

恵美は頷き、

「優しいの“優”です。言葉の響きだけ、裕一さんから頂きました」

「そっか、優しい“優”か・・・。いい名前だな」

優は裕一のズボンの裾を引っ張り、にっこり微笑むと、

「パパ、いっしょ。“おたる”いこぉ」

裕一は、カバっと優を抱きしめ号泣する。

「ゴメンな、ゴメンな。優」

しばらくした後、優の身体を外すし、にっこり笑いかけると、

「優、ママの言う事を聞いて、いい子でいるんだよ」

優は照れて、

「うん!」

裕一は諭すように、

「優、パパはこのお姉ちゃん達と、話しなくちゃいけないんだ。ママと一緒待っててくれるかい?」

優は、今度は自分から裕一の足をぎゅっと抱きしめると、

「やくそくだよ、パパ」

そう言って恵美の元に帰っていった。

裕一は、部屋の全員を見回し、

「僕は・・・、けじめを着けなきゃいけない・・・」

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