表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
三日目
204/243

ep.204 失踪の理由

桜子達は、全員合唱する様に、

『皐月!』

皐月は頷くと、

「ただいま、みんな。この女性は・・・」

説明しようとした矢先、裕一が、

恵美(めぐみ)ちゃん!どうして、こんな(とこ)に・・・?僕、ずっと探したんだよ。でもてっきり、嫌われたと思って・・・。その女の子は、まさか・・・」

恵美と呼ばれた女は、幼い少女に優しく語りかける。

「さあ、(ゆう)。ご挨拶してらっしゃい」

優と呼ばれた幼い少女は、トコトコと不安定な足どりで一生懸命裕一の元に歩いて行く。

裕一の足をぎゅっと抱きしめると、

「パパ、はじめましゅて」

裕一は現実を受け止めれずにいる。

確かに、優の幼い面影は、心なしか裕一の実母・冴子に似ていた。

《僕がパパ?しかも、恵美が僕の子供を生んでくれた?》

「どう言う事?皐月」

桜子は皐月に説明を求めた。

皐月は、深くため息を()き、やれやれといった表情で、

「どうもこうも、優ちゃんが言ったのが真実。彼女は間違いなく、ここにいる福知恵美さんと稲美裕一の間に生まれた女の子。もっとも、戸籍上はまだ片親だけどね」

恵美は深々と頭を下げ、

「裕一さん、ご心配をかけました。今、皐月さんが言われた通り、優は貴方の娘です。裕一さんに抱かれた次の日、実家の父が倒れたと連絡が入り、私は看病の為小樽に帰りました。しばらく、父の看病で付きっ切りの日々が続き、ある日自分の身体の異変に気付きました。生理不順がちだったので、単に遅れているのだろうと思っていたら、つわりが・・・。それで、病院に行くと」

呆気に取られたトメが、

「妊娠だったのかい?」

恵美は頷き、

「はい、三ヶ月でした。厳格な父と娘の二人暮らしで育った私は、妊娠の事を父に言えませんでした・・・。勉強する為に、無理を言って関西の大学に進学させてもらってましたから。ただ、父自身も看病の甲斐もなく、それから二ヶ月後に亡くなりました。幸い父が生命保険に入ってましたので、それでこの子を産もうと思ってましたが・・・」

雪江が尋ねる。

「保険は下りなかったの?恵美さん」

恵美は首を横に振り、

「いいえ、下りる事は下りたんですが・・・。父は無理をしてたんでしょうか。家には借金がありまして、それの返済に殆ど。それでも、日々お腹の中で大きくなる優を愛おしく思い、どうしても産みたかった私は、高校の先輩を頼って、臨月ギリギリまでススキノのニュークラブで働き、出産費用を貯めて、やっとこの子を産んだんです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ