ep.195 吉本、行け!
堺インペリアル・ホテルから1km程南に下った所にあるセブンイレブンに、桜子達は居た。
時間にして裕一を捕獲後、約15分程たった頃であろうか。
藍がコンビニ袋に入ったペットボトルと紙パックの飲み物を、いつもの如く、天使の笑顔と引き換えに無料で貰って出てきた。
藍は振り返ると、可愛くレジの店長に手を振る。
加齢臭のしそうな禿げたおっさんの店長が、目をハートにして手を激しく振った。
正直、気持ち悪い・・・。
藍が、皆んなにドリンクを配っていく。
ローズが思い出した様に、先程こころから貰った“バーガー・クィーン”の炭焼きクィーンイデルバーガーを一人一個づつ配る。
ローズがこころに、
「ミンナデ食ベータホウガ、美味シーネ。こころ、イイデショ?」
こころは頷き、
「もちろんとよ、みんなで食べた方がうまかと」
もっとも、配ったのはローズが貰った分で、自身の分はとっくに全てこころの胃に納まっていた。
桜子は、伊右衛門を一口飲むと、
「さて、これからだけど・・・」
こころは、炭焼きクィーンイデルバーガーを口いっぱいに頬張りながら、
「ほふふふほ?」
メンバー全員が首を傾げ、ハモる。
『ほふふふほ?』
こころはしまったといった顔をして、ゴクンとハンバーガーを飲み込むと、
「ちゃー、すまんとよ。つまり、ウチが言いたかったんは、どうすると?と言いたかったと」
瞬間、メンバー全員がぷーっと笑った。
特にツボに入ったベスは、
「全くアナタってば、緊張感が・・・、くっくっく」
瑠奈も、お腹をかかえ、
「こころちゃん、天然だね。ぅふふ」
藍も珍しくヘラヘラ笑い、
「こころちゃんは、ほんま面白いどす。こんな時、関西では何で言うか知っておすか?」
こころは、どきどきしながら少し不思議そうな顔をし、
「何で言うと?」
藍とベス、そして、瑠奈は顔を見合わせ、にぃーっと笑うと、いっせいにハモり、
『吉本、行け!』
《う、ウチは、お笑いやったと・・・》
こころが凹んだのは、言うまでもない。
直ぐさま瑠奈がフォローする。
「ぁのね、こころちゃん。関西では、面白ぃ人に対してね、“吉本行け”って言ぅ事がぁるんだょ」
藍も頷き、
「そーどす。普通に親が子供に言ーたりするよし、褒め言葉でもあったりしおす」