ep.193 どう見ても、お宮入り・・・
「どうした?ケン」
ジョージとタケが叫び声を上げたケンの元へ行き、VIPルームの中を見る。
「!!!、こりゃあ・・・」
タケが直ぐさま指示を出す。
「ダン、サトシ、ケン。男達をバスに積み込んだら、即撤収。シゲ、ヒロ、シュウにもその様に伝えてくれ!」
三人は、『了解』と敬礼し、男達を積み込むとエレベーターで降りて行った。
ジョージとタケは顔を見合わせ、タケが“番犬警備保障本部”へ、ジョージが大阪府警の先輩・虎谷鉄矢の個人携帯に、それぞれ電話する。
ジョージは携帯で話すのは苦手だが、そうは言ってられない。
鉄はすぐ出た。
「あっ、鉄さん。俺です、ジョージです。今、堺インペリアル・ホテルなんですが・・・」
意外な事に、電話の向こうの鉄は落ち着いた様子で、
『死体があったんやろ?ミイラ化した』
「なんでそれを?」
『こころから通報受けてな・・・、安心しろ俺も向かってる。もう少し・・・、そやな15分もしたら到着するから、ま、待っとけや。あっ、それから、もう間もなく堺湾岸署の捜査員も着く思うけど。それまでに《ケルベロス》撤収させとけよ。話ややこしなるから』
ジョージはいつになく真剣な眼差しで、話ながら頷き、
「はい、そうします」
『それから、ジョージ』
「はい、何ですか?」
『あんま、モメるなよ。相原ちゃんも心配してたで』
「美保が?すいません・・・」
『ほな、後で』
ジョージが携帯を切ると、タケがまたニヤニヤとさせながら、
「ほぉ、美保ちゃんって、初めて聞くな。元カノか?ジョージ?」
「んなワケねーだろ。美保は、大阪府警本部捜査一課の刑事だよ。大学・警察学校と同期でな。確かに、大学の頃は、ミス・キャンパスとかに選ばれもしちゃーいるが・・・。残念ながらタイプじゃねーよ」
タケは、大学からと話を聞いて
「あぁ、それじゃ・・・。悪い、スマン気付かなくって、ジョージ」
タケは素直に頭を下げた。
「いいさ、気にすんな、タケ」
窓の外からパトカーのサイレンが聞こえてくる、どうやら堺湾岸署の警官が到着したらしい。
ジョージは、VIPルームの遺体をチラと見ると、
《こりゃあ、どう見ても、お宮入りだな・・・》