表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
三日目
188/243

ep.188 闇より出でし者

その時である。

VIPルームの扉が静かに開いた。

中の空気は、禍々しく冷たく重い・・・。

桜子と藍が、VIPルームの中に目をやると、神が創りし美術品かと思える程の美女が、燃える様な真っ赤なドレスを身に纏い立っていた。

髪は腰まである見事なブロンド、瞳と唇は深く紅い。

肌は蝋の如く白かったが・・・、生命(いのち)の持つ輝きを感じられないのだ。

ブロンドの女が、静かに右手の手の平を藍に向ける。

防御する間も無く、藍は吹っ飛び壁に激突した。

「何じゃ、こら・・・」

藍は意識を失うが、直ぐさま目を開け、

「嬢ちゃん、こやつ、ヒトでは無い!」

「!!!」

藍(晴明)は、印を結ぼうとするが、動きが封じられて何も出来ずにいる。

喋るのが精一杯だった。

桜子も目を合わせた時から、既に金縛りを受け、

《不覚・・・、ヒトじゃないって・・・》

ブロンドの女は桜子に音も無く近付くと、左手で桜子の顎先をクイと持ち上げ、

《ふーん、これはデザートに丁度いい娘ね。味見させてもらうわ》

ブロンドの女は、桜子の腰を抱き、引き寄せる。

刹那、妖艶な唇が桜子の唇を奪う。

ブロンドの女のキスは、深く激しい。

《!!!・・・、痛っ!》

ブロンドの女が桜子の唇を噛み、痛みが走る。

しかし、痛みが自由を取り戻させた。

桜子は、ブロンドの女の抱擁を振りほどき、少し下がる。

躊躇いなく“乙女”を引き抜き、構え、

「貴様、何者?」

ブロンドの女は目を細め、再び妖艶に微笑み、

『ほぅ、もう効かぬか・・・、面白い。気に入った。特別に名乗ってやろうぞ。(わらわ)は、リリーシャ。闇より出でし者』

その時である、“トゥール・ハンマー”の響きと共に、リリーシャに向け雷が飛ぶ。

リリーシャは左手で雷を吸収すると、雷が飛んできた方を見た。

激しいオーラを纏い、ベスが立っている。

怪しい波動を感じ、エレベーターの中を飛んできたのだ。

ベスが、リリーシャを睨みつけ叫ぶ、

「下がれ、悪魔!」

リリーシャは、虫けらでも見る目つきでベスを見下すと、

『お前か、精霊魔法の使い手は?くーっくっくっ、あーっはっはっは。失礼な、小娘。妾は、悪魔のような下びた者ではない』

そして、静かに桜子に振り返ると、

『いずれ時が来れば、(ぬし)の魂、妾が物にさせてもらう』

そう言い放つと、幻のように消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ