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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
三日目
185/243

ep.185 この以蔵様なら、あっちゅう間じゃき

「痛とおます・・・」

藍の頬っぺたは、赤くヒリヒリと腫れている。

藍が意識してなかったにせよ、『桜子ちゃんの胸は、残念さんどす』の発言に、桜子が逆上して思い切りつねったのだ。

桜子は軽くため息を()き、

《まぁ、藍なりに、アタシの緊張を緩和してくれたのかもね・・・》

思わず藍の頭を撫でる。

藍は不思議そうな顔をするが、桜子に撫でられるのは嫌いではない。

二人の間に、笑顔がこぼれた。


間もなくエレベーターが最上階レストラン・フロアに着く。

桜子と藍に緊張が走った。

「援護よろしくね」

桜子が指示を出す。

藍はあいっと敬礼し、いつでも日本刀を出せる準備を仕出した。

チンと無機質な音を発て、エレベーターのドアが開く。

鉄扇を構えたまま疾風の如く桜子は飛び出すと、レストラン入口に立つ黒いスーツの男二人に駆け寄った。

男が呆気に取られている間に、踏み込むと右側の男の顔面を左下から鉄扇で薙ぎ払う。

一打目が綺麗に下顎に入った。

直ぐさま返す刀で、右こめかみに振り下ろす。

男は勢いよく床に倒れると、耳から血を出して倒れた。

もう一人の男が、慌てて短刀(ドス)を出した時には、桜子の鉄扇が男の短刀を持つ手を打ち、更に一歩踏み込むと腹を薙ぎ払う。

男の動きが停まった処で、桜子は振り返り後頭部に鉄扇を打ち下ろした。

男は膝から崩れ落ちると、鼻血をつぅと出し顔面を床にぶつけ意識を失う。

藍は、桜子の見事に倒す様に感心すると、ぱちぱちと拍手をし、

「桜子ちゃん、凄おますなぁ。今のはもしかして、“逆燕(さかつばめ)”と“涼嵐(すずらん)(ちゃ)いますか?」

桜子は、かなりびっくりした様で、

「ええ、今のは確かに、“逆燕”と“涼嵐”だけど・・・、藍には初めて見せたわよね?」

藍は、一度目を閉じブルンと身体を震わせ、ゆっくりと開く。

ニイッと笑うと野太い声で、

「おまん、太刀筋が光司郎(こうじろう)とそっくりじゃきに。流石よのぉ!」

藍は、ぶっきらぼうに筒に入った日本刀“乙女”を、桜子に投げると、

「小娘、使え。しっくりくるき!」

藍自身は、もう一本の日本刀“昇華”を引き抜き、目を細めると、

「ワシゃー、援護は向いちょらんき、先に行かしてもらうぜよ。なぁに、この“以蔵(いぞう)”様なら、あっちゅう間じゃき」

そう言い放つと、雄叫びを上げながらレストランの中に走り込んで行った。

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