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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
三日目
184/243

ep.184 尽きぬ悩みと拷問よりキツい事

こころとローズがハンバーガーを食べながら堺インペリアル・ホテルに向かっていると、正面から一人の男が汗だくで取り乱しながら走ってくる。

ぶつかりそうになるので、二人は思わずよけた。

男はこころとローズの顔をちらりと見ると、軽く舌打ちし走り去った。

壱野である。

舎弟達を探していたのだ。

《くっそぉ、やっぱり今日はツイてねえ・・・》

そんな壱野は、公園の角に停まっている一台のバスを目にする。

《なんだ?あの黒塗りのバスは・・・?》

そんな事を考えながら公園に入ろうとした矢先、壱野はある光景を目にし思わず木陰に隠れた。

どう見てもマトモな仕事をしている様には見えない屈強な黒スーツの男達が、舎弟達を次々とバスに運び込む。

しかも、まだ意識ある舎弟達には、力まかせに拳を奮い強引に意識を奪って。

《何だありゃ。“河内稲美会”は、実はとんでもない組織を相手にしているんじゃ・・・。この場は、逃げたほうが賢明だな》

壱野はこっそり公園から抜け出すと、タクシーを捕まえ乗り込む。

身体を隠し、富田森市の自身のマンションの住所を伝えた。

目を閉じ、思いを巡らす。

《潮時か・・・。やっぱり、サゲの運気持ってるヤツはアカンよな。今日にでもマンション引き払って、姫路に帰ろ。問題は、組長(おやじ)に何て報告するかだな・・・》

壱野の悩みは尽きない。


一方、ヤクザを片している《ケルベロス》のヒロは、白髪を揺らし笑うと、

「タケさん、俺、ハラ減ったっすよ」

タケは、しょうがないなぁと言った面持ちで、

「もう少しだけ我慢してくれ、全て片したら、ジョージが“玉将”で昼メシ奢ってくれるらしいから」

ヤクザを肩に担いだジョージが、少し焦って、

「おっ、おい、タケ。いつ俺がヒロの分も・・・」

タケはニヤリと笑い、

「いいじゃないか、今日の処はお前の奢りで。シュウ、シゲ、お前らもジョージに礼言っとけ」

遠くから、ゴチになりますと声がする。

ジョージは肩を竦めると、

「あぁ、理解(わか)ったよ。オゴってやるから、お前ら全力で食えよ。そん代わり、今度の休みん時、キャバクラ付き合って、俺とアリスちゃんの事盛り上げろよ。いいな!」

背後から、『それ、拷問よりキツい』と、《ケルベロス》の連中が漏らしたのは言うまでも無い・・。

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