ep.183 袋いっぱいの炭焼きクィーンイデルバーガー
こころとローズは公園を後にし、堺インペリアル・ホテルに向かう。
足どりは軽い。
「いやー、ローズ。さっきは助かったと」
歩きながらこころは、ペコリと頭を下げた。
ローズはバシッとこころの背中を叩き、セクシーにウィンクすると、
「気ニシーナイ、オ互イサマーネ」
ローズはそう言ってくれるものの、意外と恩義を受けた事にうるさいこころは、
「いや、それだとウチの気がすまんと・・・」
こころの目に、あるハンバーガー・チェーンが目に入った。
《これとよ!》
こころが目にしたのは、“バーガー・クィーン”。
「ちょっ、ここで待ってると!コーラでよかね?」
ローズが返事をする間もなく、走り出しハンバーガー・ショップに消える。
数分後、袋いっぱいに入った炭焼きクィーンイデルバーガー10個、山盛りポテト、そして、コーラのLLサイズを二袋を両手に持って、こころが帰ってきた。
一つをローズに押し付けると、
「感謝の気持ちとよ。食べて欲しか、ローズ」
「Wow、コンナニ?高カッタデショ?」
こころは首をブンブン横に振り、
「ウチは無料と。だから、これは遠慮なく食べて欲しいとよ」
こころが入っていった“バーガー・クィーン”は、元々、数年前に日本現地法人を作り、政令指定都市を中心に展開しているヨーロッパ外資系ハンバーガーである。
その広告展開の一つに、バレーボール全日本女子のスポンサーをしているのだ。
契約により全日本女子の代表選手ならば、何処の店舗でも好きなだけ店のメニューが食べれるのだ。
もちろん、待っている間に、ポスターにサインや、記念写真の撮影を快く受けるこころであったりもするのだが・・・。
ローズは納得した様で、
「無料デスカ・・・、ダッタラ遠慮無ク、食ベマース。アリガート、こころ」
感謝の言葉を述べると、ローズは包み紙を開け、炭焼きクィーンイデルバーガーをパクり。
肉汁が口の中に拡がる。
「コレ、美味シーデスネ。パティモ、普通ノ三倍ハアッテ・・・、ンー、Good!」
こころもハンバーガーにかぶりつくと、
「ウマかやろ!ローズが気に入ってくれて、ウチも安心したと。さぁ、食べながら駐車場に戻るとよ」
ハンバーガーを食べながら歩く姿は、何処にでもいる女子高生に見えた。