ep.180 連係プレー
こころの行動は素早かった。
走り寄る先頭の男の手前でジャンプすると、右の手の平で男の額を掴む。
勢いに任せ全体重を載せ、大地に思い切りぶつけた。
男はビクンと手足を伸ばすと、動かなくなった。
更に後ろから加速したローズが屈んでいるこころを跳び越し、そのまま左足で次の男の腹に蹴りを入れる。
腹を蹴られた男は吹っ飛び、嗚咽を漏らしながらすぐ後ろの男にぶつかった。
体制を直す間もなく、着地したローズのローリング・ソバットが顔面に入り、鼻血を噴き出しながら崩れ落ちる。
仲間をぶつけられた方の男は、驚く間もなく立ち上がったこころの右ハイキックを顔面に受けた。
勢いのまま後頭部から落ち、泡を吹くと気を失う。
こころが叫ぶ。
「これで三人!」
仲間三人を瞬殺された男達は逆上し、武器を持っている者は次々と取り出していった。
短刀六人、拳銃三人、そして、素手の者三人。
こころとローズは、少し距離を置き、男達に囲まれる。
拳銃を持った一人の男が、イヤらしく笑い、
「最初からこうすりゃ良かったんや。手を上げんかい!」
背中合わせのこころとローズは、仕方ないといった面持ちで、二人共ゆっくり手を挙げる。
別の短刀を持った男が、こころに近付きながら、
「あっれ~。俺、このデカい女、見た事あんで・・・。たし・・・」
全ての台詞を言い終わらいうちに、不注意にもこころの間合いに入った男は、短刀を持つ右手を蹴り上げられる。
男が手を痛むのを感じる間もなく、こころに右腕を捩り上げられた。
「うっ。コラ!デカいの!離せ、離さんかい!」
一方、ローズはこころの蹴り上げた短刀をジャンプして空中でキャッチすると、着地するなり拳銃を持つ男の一人に投げ付けた。
投げられた短刀が、ザクりと拳銃を持つ男の手の甲に、深々と突き刺さる。
拳銃が落ちた。
刹那、こころは捩り上げた男の右腕に更に力を加え、嫌な音を発て関節を外す。
痛がる男の背中を蹴り、反動を利用して跳ぶと、落ちた拳銃を拾い、
「ローズ!」
と叫び投げる。
もちろん、すぐさまこころが立ち上がり、拳銃を落とした男の鳩尾に渾身の膝蹴りを放ち、トドメを差したのは言うまでもない。
残り、あと11人。