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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
三日目
176/243

ep.176 あの女二人共、拉致れ!

エレベーターを降りた壱野が見たのは、組構成員が全く誰も居なくなり、ガランとしたロビーだった。

《はぁ、何じゃこら?》

壱野がフロントに駆け寄ろうとした時、背後から声を掛けられた。

「壱野のアニキ!」

振り返ると、見知った二人の舎弟がいた。

「天塚に、鈴村か。お前ら下の駐車場に居たんじゃ?」

まだチンピラ臭さが抜けない天塚が、右手で頭を掻きながら鈴村を指差し、

「ええ、そうなんスけど。コイツが小便行きてえって言うもんで、ツレションですわ」

壱野は、しょーがねうヤツらだなぁと言った面持ちで、

「ロビーにいた連中、知らねえか?」

天塚と鈴村は首を横に振るばかりだった。

《使えねえなぁ、コイツらも・・・》

そう思った時である。

壱野の携帯が、けたたましく鳴った。

素早く出ると、聞き覚えのある声が、

『あっ、アニキ。助けてくだせえ!こいつら、バケモンみたいに強ええ。う、うわ。こっちに来るな。あ”~~~・・・』

壱野は少し慌て、

「おい、岩室。何があった?」

しかしながら、聞こえてくるのは打撃音と嗚咽ばかりで、電話の向こうの岩室は、二度と返事をする事は無かった。

《ちっ、何が起こってやがる。もしや・・・》

悪い予感が、壱野の背中を駆け抜けた。

「おい、天塚、鈴村。下の駐車場戻るぞ」

壱野は二人を引き連れ、階段を降りていった。


「ベスちゃん、この車だょね?動かなくさせるの」

瑠奈は数台の車両を指差した。

ベスは頷き、

「どうやらそうみたいね。全部で7台。さっさと片して戻りましょう。どうやらキーは着いているみたいだし。全部外してしまえば、動かせなくなるから」

瑠奈はクスッと笑い、

「だね。ァタシ、こっちから外してぃくね」

ベスは首を縦に振り、

「了解。アタシはこっちから」

そうやって瑠奈とベスが、1台目のキーを外そうと車のドアを開けた時、丁度、壱野達が地下1階に降りてきた。

瑠奈とベスが、壱野の目に入る。

更にその奥で、桜子によって潰された5人も。

《あ”?潰されてる。しかも、何だ?あの二人は?まさか、こいつらが?だとすると、俺が行くのは危険だな・・・》

壱野は、天塚と鈴村を手招きして指示を出す。

「いいか、お前ら。あの女二人共、拉致れ!」

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